京都ツウのススメ
第百七十八回 京都と徳川家
元離宮二条城
京で見られる徳川家ゆかりの地 江戸に本拠地を置いた徳川家ですが、京都にもゆかりの地がたくさんあります。「らくたび」の山村純也さんと一緒にそれらを追ってみましょう。
基礎知識
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其の一、
- 江戸幕府を開いた徳川家康が征夷大将軍に任命されたのは京都でした
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其の二、
- 朝廷のある京都を重要視していた徳川家は幕府成立後すぐに城を造営しました
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其の三、
- 朝廷との結びつきを得てからは京都の社寺の復興も支援しました
京で始まり、京で終わった江戸時代
1600(慶長5)年、関ヶ原の合戦で勝利し、天下人となったのが江戸幕府初代将軍・徳川家康。家康が1603(慶長8)年に征夷大将軍に任命された場所は江戸ではなく、京都の伏見城でした。その後約260年にわたって江戸を中心とした幕府の政治が続きますが、その幕が下ろされたのも京都。第15代将軍・慶喜は二条城において政権を朝廷に返す「大政奉還」の意思を表明しました。歴史の節目は京都にあったと言えます。
京都に多くある徳川家ゆかりのスポット
京都には、家康が築城した二条城や、同じく家康が開いた学問所に始まる圓光寺など、徳川家ゆかりの場所がたくさんあります。また、第2代将軍・秀忠の娘、和子が後水尾天皇に入内(じゅだい)したことで徳川家とつながりをもった朝廷は、幕府の経済的援助のもと、京都の多くの社寺を修復。幕府側も社寺を手厚く保護していきました。今回は、徳川家と関わりのある京都のスポットを歴史とともにご紹介します。
江戸幕府初代将軍誕生の地
伏見城
1603(慶長8)年2月12日、朝廷は家康を征夷大将軍に任命、家康がこれを受けたのが伏見城でした。城は現存していませんが、1964(昭和39)年に洛中洛外図屏風を参考に造られた模擬天守が伏見区にある伏見桃山城運動公園内に今も立っています。
徳川家康の政治顧問の住まい
金地院(こんちいん)
南禅寺を再興した以心崇伝(いしんすうでん)は、家康の政治顧問として活躍した人物。朝廷の権限を抑えた「禁中並公家諸法度」の案文を作るなどして江戸幕府の基礎を築きました。南禅寺塔頭である金地院は崇伝の居所。境内には家康を神格化してまつる東照宮があります。
全国におよそ700社の東照宮がありますが、家康自身の遺言によって建立された東照宮は3カ所だけ。金地院東照宮はそのひとつです
※2023年末までは内部拝観可(入場は不可)
将軍家の権威の象徴
二条城
家康は上洛の際の宿泊所として二条城を築城しました。この築城は、徳川家の権威を誇示するためのものでもありました。当時は現在の敷地の東側のみでしたが、第3代将軍・家光の時代に大規模な増改築が行われ、現在の姿がほぼ完成しました。
現在の堀の西側に少し折れ曲がっているところがあります。これは、家康時代の外堀の名残りと言われています
徳川家が築いた学問所
圓光寺(えんこうじ)
学問にも長けていた家康は、儒学によって国を統治しようと考えていました。左京区にある圓光寺は、家康が伏見に開設した学問所をルーツに持つ禅宗寺院。江戸時代には多くの文人・僧侶が通ったそうです。
家康はここで書籍などの出版事業も行っていました。圓光寺では当時使用していた日本最古の木製活字約5万点を所蔵しており、境内の瑞雲閣(ずいうんかく)に展示されています
江戸幕府の寄進を受けた寺院
知恩院
江戸幕府は京都の社寺を保護していました。浄土宗総本山の知恩院は家康が浄土宗を信仰していたこともあり、徳川家から多くの援助を受けた寺院のひとつ。家康が土地と諸堂を、秀忠が三門を寄進し、家光が火災にあった知恩院の再建を行いました。ほかに、東本願寺や清水寺なども徳川家から多くの寄進を受けていました。
葵祭(あおいまつり)の
復興も徳川家がバックアップ
上賀茂神社と下鴨神社を舞台に毎年5月に行われる葵祭では、行列参加者などにフタバアオイの葉が付けられます。葵祭は応仁の乱(1467〜77年)以降途絶えていましたが、1694(元禄7)年に東山天皇が江戸幕府の支援を得て復興。この幕府のバックアップの背景には、徳川家の家紋が三つ葉葵であることによる計らいがあるのではないかとも言われており、正式名称である賀茂祭のほかに葵祭と呼ばれるようになったのもこの頃だと伝えられています。
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