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京都ツウのススメ

第百三十一回 京の調味料

京の食文化と調味料京都の料理に使われる代表的な調味料について
らくたびの田中 昭美さんがご紹介します。

基礎知識

其の一、

日本の食文化には、醤油(しょうゆ)、味噌(みそ)、酢などの調味料が欠かせません

其の二、

醤油や味噌のルーツは中国から伝わった醤(ひしお)という発酵調味料です

其の三、

京料理には甘みのある白味噌や、淡口(うすくち)醤油がよく使われます

古代の発酵調味料が醤油や味噌に

 醤油や味噌は、大豆や米、麦を主原料に、塩や麹(こうじ)菌を加えて発酵・熟成させる、和食に欠かせない調味料です。その始まりは、古代中国で保存のために塩漬けした肉や魚、穀類などから作られた旨みのある「醤」で、日本でも縄文時代からそれに似た食品が作られていたと言われています。また同じ発酵食品である酢も中国から伝わったもの。万葉集にも、醤や酢で味付けした料理が登場するほど古くからある調味料です。

京都の食文化を支える調味料

 醤油や味噌の味や色は原料や仕込み方法によって様々で、その特性が料理に生かされます。例えば、色良く仕上げたい煮物には淡い色の淡口醤油が用いられます。また味噌と山椒の若芽を合わせて作られる木の芽味噌は、白味噌を使うことで若芽の緑が映える仕上がりに。このように、調味料は素材の持ち味を引き立てながら、京都の味を支えています。

調味料は貴重だった平安時代

貴重な大豆や米などから作られた調味料は、
平安時代は限られた人しか口にできなかったと言われています。

貴族の宴席に用意された四種器(よぐさもの)

長さ約13m、幅約2mの底が浅く平らな浅川専門の舟。最大15石(約2.25t)の荷を積むことができました。この舟を用いたため京の調味料という名が付いたという説があります。最盛時には約200もの高瀬舟、約700人の曳き子がいたと言います。

給与として支給された味噌

平安時代の歴史書には、中国の唐から訪れた僧に朝廷が給与として味噌や醤を与えたと記されています。味噌は贈答品にも使われ、庶民には手の届かないぜいたく品だったことがうかがえます。

ここがツウ

平安時代、砂糖も貴重品で上流階級の人は薬としても使っていました。当時甘味料として使われたのはツタの樹液を煮詰めた”あまづら”で、「枕草子」にはかき氷にかけたと書かれています

京都の味を支える名脇役

食材の持ち味を引き出し、彩り良く仕上げる京料理には、様々な調味料が使われます。

醤油 だしと合わせて料理をよりおいしく

室町時代に誕生したと言われる醤油は、当時はトロリとした溜まり状のものだったと考えられています。寛文年間(1661~73年)の頃には龍野(現在の兵庫県たつの市)で色の淡い醤油の生産が始まり、京都にも出荷されるように。これが淡口醤油の始まりと言われています。

昆布やカツオ節から取った一番だし
に淡口醤油を加えて仕上げる椀物

醤油は椀物や炊き合わせに使うほか、だしやみりん、酒などと合わせて、タケノコやウナギなどの照り焼き用の焼きだれや、野菜に下味を付けるための八方地(はっぽうじ)にも使われます。

昆布やカツオ節から取った一番だし
に淡口醤油を加えて仕上げる椀物

酒の醸造法とともに伝来

酢は、応神天皇の時代に酒の醸造技術とともに中国から伝来しました。平安時代の法令集「延喜式(えんぎしき)」には米酢の原材料や製法が詳しく記されています。

甘めのすし酢で巻き寿司に

京料理にはまろやかな酸味の米酢が合うとされ、酢の物や寿司などに使われます。酢水はゴボウやレンコンのアク抜きにも用いられます。

ここがツウ

元禄年間(1688~1704年)に京都で生まれた友禅染めは、染料を定着させるために酢が使われていました。このため当時の京都には酢の醸造元がたくさんあったそうです

味噌 甘みを生かして料理や和菓子に

味噌は、醤から派生した未醤(みしょう)という調味料がルーツと言われ、平安時代初期の文献にはすでに「味噌」という文字が登場します。鎌倉時代になると、味噌をすり鉢ですりつぶして使う味噌汁も生まれました。

白味噌を使った、赤貝やワケギの辛子
酢味噌和え

京都の雑煮に欠かせない白味噌は、米麹の甘みが特徴です。京料理では甘みのある白味噌や味の濃い辛口の味噌などを使い分け、汁物や田楽、和(あ)え物などに用います。

ここがツウ

白味噌を練り込んだ生地を焼いた松風(まつかぜ)や、白味噌あんが入った正月を祝う花びら餅など、京都には白味噌の風味が生かされた伝統の和菓子があります

七味唐辛子

漢方薬に着想を得て江戸で誕生し、各地に広まった七味唐辛子。丸ダイコンや小カブを炊いたものにかけると、香りと辛みが際立ち、料理の味を引き締めます。

山椒(さんしょう)

葉も実も香辛料になる山椒。若芽は木の芽和えや料理のあしらいに、実は佃煮に、また、実をすりつぶした粉は丼物やウナギの蒲焼きなどに使われます。

ゴマ

刻む、するなどして、魚や肉にまぶして焼く利休焼きや、ゴマ和えなどに用いられます。田楽味噌には、砂糖やみりんと一緒にすりつぶしたゴマも使われます。

取材協力 : 祇園たに本

制作:2019年3月
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