京都ツウのススメ

第三回 祇園祭の楽しみ方

京都の夏の風物詩・祇園祭。今回はらくたびの山村純也さんが、祭りを楽しむためのポイントを紹介します。今年はひと味違う祇園祭を満喫しましょう!

祇園祭の基礎知識

其の一、
疫病退散を祈願する祭りとして始まりました
其の二、
山鉾巡行で町の邪気やけがれを払います
其の三、
八坂神社の神様を神輿(みこし)にうつして迎えます

そもそも祇園祭とは?

平安時代の869(貞観11)年、日本各地で疫病が流行したこの年、当時の国数にちなみ66本の鉾を二条城の南にある神泉苑に立て、祇園社(八坂神社)の神輿を送り疫病退散を祈願したのが起こりとされています。応仁の乱などの戦乱による一時中断を除き、神社と町衆の力によって現在まで脈々と受け継がれている伝統行事で、7月1日から1ヵ月間行われます。
そんな長いお祭りをどう楽しむか…それは注目すべき点をしぼること!ここでは祭事を見るおすすめポイントをご紹介しますよ。

【ナビゲーター らくたび 山村純也(やまむらじゅんや)さん】らくたびは、京都ツアーの企画を行うほか、京都学講座や京都本の執筆など、多彩な京都の魅力を発信しています。

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山鉾はまさに動くアート!

町の邪気を払うため、にぎやかにとり行われるのが17日の山鉾巡行。各山鉾町の町衆が誇りをかけて飾った豪華絢爛(ごうかけんらん)な山鉾32基の色鮮やかな競演が楽しめます。李朝の朝鮮段通などを所蔵する函谷(かんこ)鉾をはじめ、月鉾の大屋根の装飾、鯉山の鯉などアートな山鉾がずらり。また、蟷螂(とうろう)山のユニークなからくり人形のかまきりなど、一風変わった姿にも注目です。

木彫りの鯉

鯉山には左甚五郎作と言われる木彫りの鯉など、貴重品が飾られています。

函谷鉾のコブラン織の前懸

函谷鉾のコブラン織の前懸は、旧約聖書の一場面を描いた16世紀のベルギー製を復元新調したもの

“呼吸技”が見ものの辻廻し

辻廻し

音頭取りは通常2人ですが、辻廻しの際には4人になり、お囃子もテンポアップ!

巡行の一番の見どころといえば、割り竹で鉾の向きを変える「辻廻し」です。鉾の前部に立つ「音頭取り」の指揮によって、町衆が呼吸を合わせて鉾を回す様は見事!車輪を操る「車方」と「曳き手」との絶妙なタイミングによる辻廻しは四条河原町と新町御池での見物が有名ですが、巡行前の四条室町でも行われていてツウの好みのスポットです。

“熱気ほとばしる神輿渡御

神輿渡御

八坂神社前は大迫力!2トン以上もの神輿を高く持ち上げたまま回す「差し回し」などの技も見どころ

17日の夕方から始めるのが祇園祭で最も大切な神事の「神幸祭」。氏子達が時には体をぶつけ合いながら、「ホイットー!ホイットー!」と大きな独特のかけ声で神輿を運ぶ様は圧巻です。ゆったりと行列が進む“静”の山鉾巡行に対し、まさに“動”のダイナミックな神事。

“祭の神髄は後祭にあり

神輿渡御

神幸祭に比べると観客も少なく、神聖な雰囲気。氏子達もこの神事には特別な誇りをもって臨みます

17日の「先祭(さきまつり)」に対し「後祭(あとまつり)」と呼ばれる24日。華やかな花傘巡行を終えると、いよいよ祭の間、町に滞在していた神様を送り出す「還幸祭」です。日が暮れる中、神輿が八坂神社へと戻っていく様子に、しんみりと名残惜しさが漂います。この独特の風情は、祇園祭ならではのもの。

1ヵ月の主な祭事
  • 1日(火)
    〜5日(土)

    吉符入(きっぷいり) ※非公開

  • 5日(土)

    稚児舞披露

    ココがツウ
  • 7日(月)

    綾傘鉾稚児社参(あやがさほこちごしゃさん)

    綾傘鉾を先導する稚児6人が八坂神社に参拝します

  • 10日(木)

    お迎提灯(おむかえちょうちん)

    神輿を迎えるため、祇園万灯会がちょうちん行列をします

  • 神輿洗式

    ココがツウ
  • 10日(木)
    〜14日(月)

    山鉾建

    釘を使わず縄がらみという伝統の手法を用います

  • 12日(土)
    ・13(日)

    鉾曳初め

    ココがツウ
  • 13日(日)

    長刀鉾稚児社参

    稚児が馬に乗って八坂神社に詣でます

  • 14日(月)
    〜16日(水)

    宵山

    夜になるとちょうちんがともり、各山鉾の貴重な絵画や屏風などが公開されます

  • 16日(水)

    献茶祭

    八坂神社で茶道の家元が濃茶と薄茶をたてて神前に献じます

  • 日和神楽

    ココがツウ
  • 17日(木)

    山鉾巡行

  • 神幸祭

  • 24日(木)

    花傘巡行

    ココがツウ
  • 還幸祭

  • 28日(月)

    神輿洗式

  • 31日(木)

    疫神社夏越祭(えきじんじゃなごしさい)

    1ヵ月の行事が全て無事に終わったことを神前に報告し、茅の輪(ちのわ)をくぐって無行息災を祈願します

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稚児舞披露

お稚児さんが2人の禿(かむろ)さんとともに稚児舞を披露します。会所下に集まれば一足先にお稚児さんと対面できますよ。

稚児舞披露

神輿洗式

八坂神社の中御座神輿を四条大橋の上で鴨川の水で清める儀式。神輿にかける水のしぶきを浴びれば厄除けになるとか。

神輿洗式

鉾曳初め

誰でも気軽に参加できる鉾曵初め。祇園囃子が響く中、楽しく引きましょう。この綱を引くと、1年分のけがれが払われるといいます。

鉾曵初め

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日和神楽

各鉾町の囃子方が御旅所に囃子を奉納して巡行日の晴天を願います。美しい音色が響き、祭りの最高の盛り上がりが体感できますよ。

鉾曵初め

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花傘巡行

傘鉾・馬長・祇園太鼓・芸妓さんなどが参列し、パフォーマンスも芸術的です。1,000人にも及ぶ行列が市内を練り歩くと華やかなムードに!

花傘巡行

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山鉾位置&17(木)巡行ルートマップ

蟷螂山 14(月)〜16(水)かまきりのおみくじが人気です

保昌山 14(月)〜16(水)縁結びのお守りが授与されます

占出山 13(日)〜16(水)祇園祭限定のお菓子「吉兆あゆ」が登場します

菊水鉾 13(日)〜16(水)菊水鉾茶会が行われます

棒振り踊り

山鉾巡行時の、四条傘鉾の子供達による
愛らしい「棒振り踊り」は必見!

宵山ちょうちん

14〜16日の宵山ちょうちんの明かりや
祇園囃子でムード満点

山鉾

32基の山鉾が町を巡行してけがれを払います

制作:2008年6月
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第六十二回 能・狂言
第六十一回 京の伝説
第六十回 京狩野派
第五十九回 京寿司
第五十八回 京のしきたり
第五十七回 百人一首
第五十六回 京の年末
第五十五回 いけばな
第五十四回 京の城
第五十三回 観月行事
第五十二回 京の塔
第五十一回 錦市場
第五十回 京の暖簾
第四十九回 大原女
第四十八回 京友禅
第四十七回 京のひな祭り
第四十六回 京料理
第四十五回 京の町家〈内観編〉
第四十四回 京の町家〈外観編〉
第四十三回 京都と映画
第四十二回 京の門
第四十一回 おばんざい
第四十回 京の焼きもの
第三十九回 京の七不思議
第三十八回 京の作庭家
第三十七回 室町文化
第三十六回 京都御所
第三十五回 京の通り
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第三十二回 京の狛犬
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第三十回 京ことば
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第二十回 京の梵鐘
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第一回 池泉庭園の眺め方
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