- 其の一、
- 平安京の条坊制により東西南北に交差する大路(おおじ)・小路(こうじ)が造られました
- 其の二、
- 通り沿いの特徴などから付けられた通り名が多く残ります
- 其の三、
- 京都には通り名を使って場所を表す文化があります
東西南北に交差する京都の通り
794(延暦13)年に平安京を都とした桓武天皇は、中国・唐の長安に倣い「条坊制」と呼ばれる都市計画を実行しました。都を東西・南北に真っ直ぐ延びる大路と小路で区切って区画化。東西方向には13 本の大路と26 本の小路、南北方向には中央の朱雀大路を中心に11 本の大路と22 本の小路が設けられ、京都の特徴となる碁盤の目のような町並みが築かれました。
通り名の由来
京都の市街地を走る通りの名前は、平安時代からありましたが庶民には浸透せず、後に名を変えてから知られるようになりました。例えば、寺町通(旧・東京極大路)は豊臣秀吉の都市改造で多くの寺院がこの通りの東側に移築されたことからこう呼ばれ、中立売通(旧・正親町小路)は店を構えない商人たちが立ち売りをしていたからだと言われています。このように、その当時の町の状況や様子などを通り名に取り入れることが多かったようです。
時代の移り変わりと様々な要因により、
庶民が覚えやすい通り名が付けられました。
現在、御池通と交差する南北の通りの角には通り名やその由来を記した標識が設置されています
京都の交差点名は、「四条河原町」のように交わる2本の通り名を合わせたものが多いのが特徴です。
平安時代、公文書での通り名の記載順は東西の大路が先だったため、元々は交差点には東西の通り名が先に付けられていました。
その後、室町時代後期に経済力などの理由で町に優劣が生じ始めると、例えば三条通と河原町通が交差する所は、「河原町三条」というように、交差点の名前は有力な町が面する通りが先にくるようになりました。
市電の駅名を引き継ぐ京都市営バスの停留所名は、交差点名をそのまま使用しているものが多くあります
京都では、住所も町名ではなく通りの名前で表し、北へ向かうことを「上る(あがる)」、南へは「下る(さがる)」、東へ向かうことを「東入(ひがしいる)」、西へは「西入(にしいる)」と言います。例えば、四条河原町の交差点から北へ行った場所の住所は「河原町通四条上る」と表し、この呼び方は京都独特の文化として今も残ります。
平安京の北側には天皇が住む内裏(だいり)がありました。そのため、北へ行くことを「上る」と言うようになったと伝わります
京都には、昔から伝わる通り名を覚えるためのわらべ歌があります。
『丸竹夷(まるたけえびす)』は東西に延びる丸太町通から十条通までを歌い、『寺御幸(てらごこ)』は南北の寺町通から千本通を順に歌っています。京都では子供の頃にこれを教わり、通り名を覚える習慣があります。
通り名の歌は「地口歌(じぐちうた)」という、庶民の生活や遊びの中で口伝えで広まったもので、地域によって様々なものがあると言われています
京都の住所では、通り名を○○通と表記し、送り仮名の「り」は道路標識以外には使いません。また、「上ル」と「下ル」は町名看板などで確認できますが、現在の公文書では平仮名を使った「上る」「下る」が使用されています。「東入」と「西入」は、送り仮名を振らないのが通例です。
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