京都ツウのススメ

第十八回 時代祭

[京の町を彩る時代風俗行列]京都の歴史と文化を凝縮した華やかな時代祭。秋の都大路で繰り広げられる一大時代絵巻へらくたびの若村亮さんが誘います。

時代祭の基本

其の一、
葵祭・祇園祭と並ぶ、京都三大祭のひとつです
其の二、
毎年10月22日に行われる平安神宮の祭礼です
其の三、
華やかな時代風俗行列は、明治維新から平安までの8つの時代をさかのぼります

京都1,200年余りの歴史を総覧

1895(明治28)年、平安遷都1,100年を記念し、市民の総意によって平安神宮が創建されました。その奉祝行事として始まったのが、時代祭です。

祭りが行われる10月22日は、794(延暦13)年に桓武天皇が長岡京から都を移したとされる日。行列を先導するのは、神宮の祭神、桓武・孝明両天皇の神霊が乗った神輿(みこし)で、祭神に現在の京都の繁栄をご覧いただくのが祭りの目的です。

行列は、明治維新時代を先頭に、8つの時代をさかのぼって巡行。見事に復元された衣装や調度品、祭具は、綿密な時代考証をへて、西陣織など京都の伝統工芸技術の粋が集められています。全20列・約2,000人の大行列が織り成す華やかな時代祭。葵祭・祇園祭と並び、京都を代表する祭りとして、広く市民から親しまれています。

華やかな京文化の源流 室町時代列

能や狂言、茶道など現在の京都を彩る様々な文化が華開いた室町時代。2007年より新たに「室町幕府執政列」と「室町洛中風俗列」の2列が行列に加わりました。足利将軍を中心とする「室町幕府執政列」は、当時の武士の軽武装姿で登場。「室町洛中風俗列」では、京の町衆によって盛んに開催された風流踊りが晴れやかに再現されます。

[ココがツウ]時代祭が始まった当初、南朝に反して室町幕府を開いた初代将軍足利尊氏は逆賊と見なされ、室町時代列は除かれていました

[鎧直垂]鎧の下に付ける合戦装束。きらびやかな赤地金襴桐文様(あかじきんらんきりもんよう)が施され、将軍の威厳を表現しています

[足利将軍]室町幕府執政列の中心人物。将軍は、全身金襴(きんらん)の衣装をまとった小具足(こぐそく)姿※で登場します ※甲冑(かっちゅう)を付ける前の軽装

[ココがツウ]足利将軍をはじめとする室町時代列の装束には、織物、染色、漆塗り、組みひもなど、30余りの伝統産業の匠がたずさわっています

[喉輪]合戦の際に喉と胸の上部を保護するもの。絹などの糸を使った組みひもで各部品を結び合わせています

[貫]武将が鎧を着用し、乗馬する際に履いた熊などの毛皮のくつ

[引立烏帽子]主に兜(かぶと)を着ける際に、後ろに折り曲げてかぶる戦場用の烏帽子

[ココがツウ]足利将軍の装束は、9代将軍足利義尚が近江に出陣する際の肖像画がモデルと言われています

[重藤弓]木材と竹を組み合わせ、上から補強のため籐を巻き、さらに漆(うるし)を塗って強化した長弓

[尻鞘]防水のために太刀(たち)の鞘(さや)を覆う、熊の毛皮を縫い合わせた鞘袋

[脛当]桐紋金具が付いた、すねを保護するもの

コースと先頭通過予定時刻

行列の順番

この歴史偉人たちにも注目!

明治維新時代【維新志士列】坂本龍馬

土佐藩出身の志士。薩長同盟成立の立役者で、海援隊を率いて活躍。行列では当時の武士の普段着で登場。2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の主人公。

安土・桃山時代【織田公上洛列】織田信長

羽柴秀吉や柴田勝家らを率いて、指揮具を持った姿で登場。鉄砲戦を得意とした武将らしく、甲冑は胴丸で、各部に鉄板を多用しています。

江戸時代【江戸時代婦人列】出雲阿国

出雲大社の巫女(みこ)で、京都の鴨河原でかぶき踊りを演じて、歌舞伎を創始したと伝わる人物。弟子を連れた巫女の旅姿で登場。

吉野時代【中世婦人列】静御前

源義経の愛妾。平安時代末期から女性の舞装束として用いられた、柔らかい生地の上着の水干(すいかん)を付けた白拍子(しらびょうし)姿で登場。

制作:2009年9月
バックナンバー
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第百八十六回 京都の地ソース
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第百八十四回 京の煤払(すすはら)い
第百八十三回 京都の坪庭(つぼにわ)
第百八十二回 どこまで分かる?京ことば
第百八十一回 京都の中華料理
第百八十回 琵琶湖疏水と京都
第百七十九回 厄除けの祭礼とお菓子
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第百七十二回 京の冬至(とうじ)と柚子(ゆず)
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第百三十三回 明治時代の京の町
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第百三十一回 京の調味料
第百三十回 高瀬川
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第百二十六回 京の仏像 [スペシャル版]
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第百二十四回 京の六地蔵めぐり
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第百十四回 大政奉還(たいせいほうかん)
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第百十二回 京に伝わる恋物語
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第百十回 扇子(せんす)
第百九回 京の社寺と山
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第百七回 幻の京都
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第百五回 京の門前菓子
第百四回 京の通り名
第百三回 御土居(おどい)
第百二回 文学に描かれた京都
第百一回 重陽(ちょうよう)の節句
第百回 夏の京野菜
第九十九回 若冲と近世日本画
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第八十六回 小野小町(おののこまち)と一族
第八十五回 新選組
第八十四回 京のお弁当
第八十三回 京都の湯
第八十二回 京の禅寺
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第八十回 義士ゆかりの地・山科
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第七十八回 京の漫画
第七十七回 京の井戸
第七十六回 京のお地蔵さん
第七十五回 京の名僧
第七十四回 京の別邸
第七十三回 糺(ただす)の森
第七十二回 京舞
第七十一回 香道
第七十回 天神さん
第六十九回 平安京
第六十八回 冬の京野菜
第六十七回 茶の湯(茶道)
第六十六回 京の女流文学
第六十五回 京の銭湯
第六十四回 京の離宮
第六十三回 京の町名
第六十二回 能・狂言
第六十一回 京の伝説
第六十回 京狩野派
第五十九回 京寿司
第五十八回 京のしきたり
第五十七回 百人一首
第五十六回 京の年末
第五十五回 いけばな
第五十四回 京の城
第五十三回 観月行事
第五十二回 京の塔
第五十一回 錦市場
第五十回 京の暖簾
第四十九回 大原女
第四十八回 京友禅
第四十七回 京のひな祭り
第四十六回 京料理
第四十五回 京の町家〈内観編〉
第四十四回 京の町家〈外観編〉
第四十三回 京都と映画
第四十二回 京の門
第四十一回 おばんざい
第四十回 京の焼きもの
第三十九回 京の七不思議
第三十八回 京の作庭家
第三十七回 室町文化
第三十六回 京都御所
第三十五回 京の通り
第三十四回 節分祭
第三十三回 京の七福神
第三十二回 京の狛犬
第三十一回 伏見の酒
第三十回 京ことば
第二十九回 京の文明開化
第二十八回 京の魔界
第二十七回 京の納涼床
第二十六回 夏越祓
第二十五回 葵祭
第二十四回 京の絵師
第二十三回 涅槃会
第二十二回 京のお漬物
第二十一回 京の幕末
第二十回 京の梵鐘
第十九回 京のお豆腐
第十八回 時代祭
第十七回 京の近代建築
第十六回 京のお盆行事
第十五回 京野菜
第十四回 京都の路地
第十三回 宇治茶
第十一回 京菓子の歴史
第十回 枯山水庭園の眺め方
第九回 京阪沿線 初詣ガイド
第八回 顔見世を楽しむ
第七回 特別拝観の楽しみ方
第六回 京都の着物
第五回 仏像の見方
第四回 送り火の神秘
第三回 祇園祭の楽しみ方
第二回 京の名水めぐり
第一回 池泉庭園の眺め方
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