- 其の一、
- 6世紀に仏教が日本に伝来するとともに、仏の教えを伝える多くの僧が生まれました
- 其の二、
- 平安時代、後世に大きな影響を与えた僧、最澄(さいちょう)と空海(くうかい)が登場しました
- 其の三、
- 鎌倉時代、法然(ほうねん)や親鸞(しんらん)が新しい形の仏教の教えを広めました
仏教伝来とふたりの名僧
仏教は、飛鳥時代に中国大陸から日本へ伝来し、奈良時代には政治と密接な関わりを持つ国家宗教としての基礎が築かれました。こうした政治と結び付いた仏教からの脱却を目指し、平安京に都を移した桓武天皇が重用したのが、最澄と空海です。ふたりは、朝廷の信頼を厚く受けて遣唐船団の一員として唐へ渡って密教を学んだ後、それぞれ天台宗と真言宗を創始。後に全国にいる多くの僧や民衆に大きな影響を与えました。
新仏教とその発展
平安時代中期、都では来世の幸せを願う浄土信仰が流行し、民衆に念仏を広めた空也(くうや)や、歌人として知られる西行(さいぎょう)が活躍しました。鎌倉時代に入ると、法然や親鸞、栄西(えいさい)などが「鎌倉新仏教」と呼ばれる独自の宗派の開祖として、民衆に仏教を布教。室町時代には、これらの宗派は天皇や幕府が信仰した夢窓疎石(むそうそせき)や信徒を組織化した蓮如(れんにょ)などにより、大きく発展を遂げます。現在、日本の仏教は十三宗五十六派となり、激動の時代を駆け抜けながら人々を導いた名僧たちの教えは、今もなお深く根付いています。
国の宗教として仏教が発展し、東大寺の大仏を建立した行基(ぎょうき)や、唐から来日した盲目の僧・鑑真(がんじん)などが登場しました。
最澄や空海によって、山岳で修行する仏教が発展し、特別な修行をしてそれを修得した人だけが理解できる秘密仏教(密教)が誕生しました。
幼い頃から神童として頭角を現し、桓武天皇からも認められた僧。唐で学んだ後に「すべての衆生は仏になることができる」と教えを説く日本天台宗を開宗し、比叡山延暦寺を開きました。伝教大師とも呼ばれ、空海とは同時代に活躍しました。
- 788(延暦7)年に最澄が開いた天台宗の総本山。法然や親鸞、栄西など多くの名僧を輩出し“日本仏教の母山”と仰がれています。
823(弘仁14)年、国を鎮護する寺として朝廷から期待され、寺の名に開創時代の年号である「延暦」が与えられました
唐で密教の奥義を学び、帰国後に「生きながら仏になる即身成仏」を説く真言宗を創始。823(弘仁14)年、嵯峨天皇から東寺を与えられ真言密教の根本道場としました。書道の名手としても知られ、弘法大師とも呼ばれています。
- 空海の構想を元に、21体の仏像を講堂内に配置し、密教の教えや仏教の世界観を絵にした曼荼羅(まんだら)を立体的に表現。空海没後、4年を経て完成しました。
綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)は、空海が東寺に設立した日本で初めての庶民の学校です。多くの子弟に仏教だけでなく、芸術全般の教育をしました
比叡山延暦寺からは多くの名僧が生まれ、法然をはじめとする延暦寺出身の僧が新しい宗派を確立しました。
- 比叡山で天台教学を学んだ後、現在の浄土宗総本山となる知恩院の近くへ移り住み「南無阿弥陀仏」と唱えると、すべての人が救われ極楽浄土に往生できると説く、専修念仏の浄土宗を開祖しました。
- 当時、最新の仏法である禅を取り入れた臨済宗の開祖。14歳で比叡山に入り、2度宋に渡って禅を学んだ後に禅宗を広め、京都最古の禅寺である建仁寺を創設しました。
宋から持ち帰った茶木で茶の栽培を始め、喫茶の習慣を日本に広めた茶祖としても有名です
- 阿弥陀如来による絶対他力の思想をもつ浄土真宗の開祖。9歳から比叡山で20年修行した後、山を下り、法然の弟子になります。布教活動の中、当時では珍らしく結婚をし、妻子のいる僧でした。
禅宗や浄土真宗など諸宗派が発展し、臨済宗の寺は幕府の官寺として繁栄しました。
- 第百九十三回 秋の京菓子
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- 第百四十八回 京の雲龍図(うんりゅうず)
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- 第百三十八回 京都と様々な物の供養
- 第百三十六回 京都とビール
- 第百三十五回 京都と鬼門(きもん)
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- 第百三十二回 皇室ゆかりの建物
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- 第百三十回 高瀬川
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- 第百十八回 京都の路面電車
- 第百十七回 神様への願いを込めて奉納
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- 第百十四回 大政奉還(たいせいほうかん)
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- 第百八回 春の京菓子
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- 第百五回 京の門前菓子
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- 第百二回 文学に描かれた京都
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- 第九十九回 若冲と近世日本画
- 第九十八回 京の鍾馗さん
- 第九十七回 言いまわし・ことわざ
- 第九十六回 京の仏師
- 第九十五回 鴨川
- 第九十四回 京の梅
- 第九十三回 ご朱印
- 第九十二回 京の冬の食習慣
- 第九十一回 京の庭園
- 第九十回 琳派(りんぱ)
- 第八十九回 京の麩(ふ)
- 第八十八回 妖怪紀行
- 第八十七回 夏の京菓子
- 第八十六回 小野小町(おののこまち)と一族
- 第八十五回 新選組
- 第八十四回 京のお弁当
- 第八十三回 京都の湯
- 第八十二回 京の禅寺
- 第八十一回 京の落語
- 第八十回 義士ゆかりの地・山科
- 第七十九回 京の紅葉
- 第七十八回 京の漫画
- 第七十七回 京の井戸
- 第七十六回 京のお地蔵さん
- 第七十五回 京の名僧
- 第七十四回 京の別邸
- 第七十三回 糺(ただす)の森
- 第七十二回 京舞
- 第七十一回 香道
- 第七十回 天神さん
- 第六十九回 平安京
- 第六十八回 冬の京野菜
- 第六十七回 茶の湯(茶道)
- 第六十六回 京の女流文学
- 第六十五回 京の銭湯
- 第六十四回 京の離宮
- 第六十三回 京の町名
- 第六十二回 能・狂言
- 第六十一回 京の伝説
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- 第五十八回 京のしきたり
- 第五十七回 百人一首
- 第五十六回 京の年末
- 第五十五回 いけばな
- 第五十四回 京の城
- 第五十三回 観月行事
- 第五十二回 京の塔
- 第五十一回 錦市場
- 第五十回 京の暖簾
- 第四十九回 大原女
- 第四十八回 京友禅
- 第四十七回 京のひな祭り
- 第四十六回 京料理
- 第四十五回 京の町家〈内観編〉
- 第四十四回 京の町家〈外観編〉
- 第四十三回 京都と映画
- 第四十二回 京の門
- 第四十一回 おばんざい
- 第四十回 京の焼きもの
- 第三十九回 京の七不思議
- 第三十八回 京の作庭家
- 第三十七回 室町文化
- 第三十六回 京都御所
- 第三十五回 京の通り
- 第三十四回 節分祭
- 第三十三回 京の七福神
- 第三十二回 京の狛犬
- 第三十一回 伏見の酒
- 第三十回 京ことば
- 第二十九回 京の文明開化
- 第二十八回 京の魔界
- 第二十七回 京の納涼床
- 第二十六回 夏越祓
- 第二十五回 葵祭
- 第二十四回 京の絵師
- 第二十三回 涅槃会
- 第二十二回 京のお漬物
- 第二十一回 京の幕末
- 第二十回 京の梵鐘
- 第十九回 京のお豆腐
- 第十八回 時代祭
- 第十七回 京の近代建築
- 第十六回 京のお盆行事
- 第十五回 京野菜
- 第十四回 京都の路地
- 第十三回 宇治茶
- 第十一回 京菓子の歴史
- 第十回 枯山水庭園の眺め方
- 第九回 京阪沿線 初詣ガイド
- 第八回 顔見世を楽しむ
- 第七回 特別拝観の楽しみ方
- 第六回 京都の着物
- 第五回 仏像の見方
- 第四回 送り火の神秘
- 第三回 祇園祭の楽しみ方
- 第二回 京の名水めぐり
- 第一回 池泉庭園の眺め方