- 其の一、
- 能と狂言は、唐から伝わった散楽(さんがく)がルーツです
- 其の二、
- 室町時代に、観阿弥(かんあみ)・世阿弥(ぜあみ)親子が能を大成させました
- 其の三、
- 能と狂言には、テーマや演出、せりふなどに、様々な違いがあります
能楽の成り立ち
能楽(=能と狂言)は、奈良時代に唐から伝わった散楽という大衆向けの芸能が始まりです。散楽はやがて演劇的要素を取り入れた猿楽能へと発展。室町時代には、観阿弥・世阿弥親子が京都で3代将軍・足利義満の支援を受け、猿楽能に歌や舞、そしてリズムを取り入れた優美な能を完成させます。さらに、能と能の合間に、滑稽なせりふ劇の狂言が演じられるようになり、同じ舞台で交互に能と狂言が演じられる現在の上演形態が出来上がりました。能と狂言は、密接な関係を築きながら互いに発展し、今日まで伝えられています。
能と狂言の違い
能は歴史上の人物や物語を題材にした悲劇が多いのに対し、狂言は庶民の日常生活を面白おかしく描く喜劇です。また、能は面をつけ「そうろう調」の言葉で演じられますが、狂言は面をつけず、主に素顔で「ござる調」を使った言葉で分かりやすく演じられるなど、多くの違いがあります。
能の主役を務めるシテには、最大流派の観世流のほか、金剛流、金春流、宝生流、喜多流の五大流派があります。狂言は大蔵流と和泉流のニ派です
ヒノキで作られた舞台は、幕や装飾がなく、能楽の美しさを引き立てる簡素な造り。
元々、野外に設置されていた名残で、建物内に設置されるようになった現在も屋根や渡り廊下があります。
楽屋との出入り口に掛かる5色の幕。あの世とこの世の境界の意味も。
楽屋と舞台をつなぐ廊下。舞台の延長としても使われます。
舞台に最も近い松が1番背が高く、遠ざかるほど低くなり、遠近感を演出。
能面をつけた演者は極端に視野が狭くなっているので、舞台上での立ち位置を確認するための重要な目印となります。
演者の舞が行われるところ。音の響きを良くするため、床下に甕(かめ)を設置している場合もあります。
舞台正面の後方にある、老松が描かれた板のこと。演目によって変わることはありません。
造営年が判明している日本最古の能舞台は、西本願寺の北能舞台で、国宝に指定されています(非公開)
能を象徴する存在で、"おもて"とも呼ばれます。一見、無表情ですが、演者は能面の影の角度などで巧みに感情を表すことができます。基本的に、能面をつけるのはシテ(主役)とツレ(同伴者)だけです。
神秘性が漂う、能の代表的な面。上を向くと喜び、下を向くと憂いの表情に変わります。
満面の笑顔で長寿の祝福を表し、正月など特別な時だけに上演される演目『翁』に使用します。
死霊を表す面で、女性の恨みと悲壮がこもった“般若”など、暗い情念を表現しています。
能に用いる装束や小道具は、京都の伝統工芸技術の粋を集めた豪華できらびやかなものが多く、見応えがあります。
舞を舞う時だけでなく、刀や短冊などに見立てることも。演目により絵柄が変わります。
西陣織の最高峰と言われる織物で、女性役の上着などに使われます。綾地(あやじ)に金銀や多色の絹糸を用いて、花鳥などの模様を表します。
庶民が主役となり、生き生きとした日常の場面が舞台となる狂言。様々な演目に登場する、代表的な人物を紹介します。
狂言では主役をシテ、それ以外の脇役をアドと呼びます。多くの演目が、
「私はこの辺りに住む者だ」というシテの自己紹介から始まります
冠者とは使用人のことで、主人公として最も多く登場。性格は主人思いのお調子者で、親しみやすい人柄です。
口うるさい女房役として登場することが多く、したたかで怒りっぽい一方、心配症で夫思いの一面も。
太郎冠者らを家来として使う立場。人使いが荒く怒りっぽい人物として描かれます。
まじないがうまくいかず事態を悪くしたり、横暴さゆえに周囲の人々にやり込められる役です。
土・日・祝日を中心に、様々な能楽会・狂言会を開催。
- ●9時~17時 ※催しにより時間は異なる 月曜休館
- ●075-771-6114 ●京都市左京区岡崎円勝寺町44
- ●三条駅下車 北東へ徒歩約15分/地下鉄東山駅下車 北へ徒歩約5分
- ●http://www.kyoto-kanze.jp
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