京都ツウのススメ

第二十四回 京の絵師

[日本画の基礎を築いた 京の画壇]没後400年を記念して、京都国立博物館で2010年に開催された「長谷川等伯展」。京の画壇に大きな足跡を残した長谷川等伯をはじめ京都で活躍した絵師たちを若村亮さんがご案内します。

京の絵師の基礎知識

其の一、
京都の美術画壇は、仏画など宗教絵画とともに発展しました
其の二、
鎌倉時代に水墨画が伝わり、専門の絵師たちが誕生しました
其の三、
室町時代から活躍した狩野派に加え、安土桃山時代から江戸時代にかけて長谷川派や琳派も活躍しました

京都の美術画壇の起こり

京都の歴史ある寺院を訪れると、厳かな座敷空間を彩る美しい掛け軸や障壁画に出会うことができます。平安時代から文化・芸術の中心だった京都では、美術においても、仏画を中心に宗教美術が発達しました。鎌倉時代後期になると中国から水墨画が伝わり、それを学ぶ雪舟や狩野正信など、才能豊かな絵師たちが京に集まり、活躍を始めます。正信は室町幕府の御用絵師となり、「狩野派」を創始。幕末まで続く日本画の一派を築きました。

活躍する絵師たち

安土桃山時代、織田信長や豊臣秀吉の天下統一は、京都の美術画壇にも新時代の息吹を与えます。絵画は宗教画から離れ、世俗の様子を好んで表現するようになります。狩野永徳や「琳派」の俵屋宗達が京の四季や風俗を壮大に描き、「長谷川派」を率いた長谷川等伯が描いたきらびやかな障壁画は現在、妙心寺や智積院などに伝わっています。江戸時代中期には装飾画風を大成した尾形光琳、日本風な文人画を大成した池大雅(いけのたいが)、動植物を得意とした伊藤若冲(じゃくちゅう)など気鋭の絵師たちが活躍。今日の日本画の基盤を築きました。

京の都に華開いた 長谷川派・狩野派・琳派 京都画壇の中でも、その独特の画風から長谷川派・狩野派・琳派と呼ばれる画派とその絵師たちをピックアップしてご紹介します。

長谷川派
水墨画・金碧画に才能を発揮

安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した画派。水墨画を基礎としながらも、のびやかな形態と鮮やかな色彩で独自の画風を確立。長谷川等伯は室町時代に活躍した雪舟の正当な後継者として「雪舟五代」を名乗り、狩野派を脅かす一大勢力を築きました。

長谷川等伯(1539~1610)

石川県出身。初期は「信春」と名乗り主に仏画を描いて活躍し、30代で上洛した後は千利休らと交流し独自の画風を確立。長谷川派を創始し、仏画・肖像画・花鳥画など多岐にわたる画題を得意としました。

ココがツウ

狩野派をしのぐ実力を発揮しましたが、「楓図」完成直後に等伯の息子・久蔵が急死。等伯は悲しみの中で「松林図屏風」(東京国立博物館蔵)を描きました

代表的な画家 長谷川等伯・長谷川久蔵ほか ここで見よう!智積院・大徳寺ほか
狩野派
華麗なる絵師の一族

室町時代中期から江戸時代末期にかけて活躍した専門画家集団。狩野正信を祖とし、代々家業を世襲。織田信長・豊臣秀吉に仕えた永徳は、安土桃山時代を代表する華麗な金碧障壁画の形式を確立。力強い表現による障壁画や襖絵などを多く手掛け、名をはせました。

ココがツウ

永徳は平安時代からの大和絵を発展させ、花鳥画や風俗画を取り込みながら、力強い「大画様式」と呼ばれる表現様式を確立しました

写真提供 : 元離宮二条城

代表的な画家 狩野元信・狩野永徳・狩野探幽ほか ここで見よう!元離宮二条城・西本願寺ほか
琳派

俵屋宗達筆 風神雷神図屏風 写真提供 : 建仁寺

代表的な画家 本阿弥光悦・俵屋宗達・尾形光琳ほか ここで見よう!建仁寺(展示品はレプリカ)・細見美術館ほか
斬新な芸術性に秀でた画派

安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、本阿弥光悦や俵屋宗達らの活躍によって京で生まれた新しい美術の画派。装飾芸術を得意とし、鮮やかな色彩や大胆な構図、背景に金箔を用いた装飾的な画風で人気を博しました。

ココがツウ

琳派の装飾的な画風は、クリムトをはじめ西洋の巨匠や現代の日本画、デザインにも大きな影響を与えました

制作:2010年3月
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