京都ツウのススメ

第三十四回 節分祭

[鬼を払って立春を迎える節分行事] 立春の前日「節分」には厄災を払う行事が行われてきました。節分祭について、らくたびの山村純也さんがご案内します。

節分祭の基礎知識

其の一、
立春の前日を「節分」と言い、厄払いの行事が行われます
其の二、
節分祭は、平安時代の宮中行事「追儺式(ついなしき)」に由来します
其の三、
京都では京都御所の鬼門を守る4社へお参りする「四方(よも)参り」の風習があります

節分のいわれ

「節分」は元々、季節の変わり目を意味し、立春・立夏・立秋・立冬の前日のことで1年に4回ありました。中でも長い冬が終わる立春は新しい1年の始まりとされ、次第に節分と言えば立春の前日のことを指すようになりました。平安時代、節分の頃は邪鬼が現れやすいと考えられたため、宮中では鬼を追い払う「追儺」という行事が行われていました。これが後に民間にも広がり、現在の節分の風習となりました。

京都の節分行事

古来より節分は新しい年を迎える行事として大切にされ、京都の社寺では趣向を凝らした節分行事が行われます。京都御所を中心にした四方の鬼門を守る4社(北野天満宮・吉田神社・壬生寺・八坂神社)へ参詣すると、1年を平穏に過ごせると言われています。中でも、平安京の鬼門を封じるために建立された吉田神社では、鉄の棒を振り回す鬼を払う追儺式「鬼やらい」が行われます。また、廬山寺では「鬼法楽」が、八坂神社では芸妓・舞妓による舞踊奉納や豆まきが行われます。

[節分の伝統行事]京都の社寺では開運厄除を願って様々な節分祭が行われます。

鬼やらい

吉田神社

宮中行事の原形をとどめる追儺式

鬼やらい(追儺式)では、鉄の棒を振り回して暴れる赤・青・黄の3匹の鬼の前に、黄金四つ目の仮面をつけた方相氏(ほうそうし)が立ちはだかって鬼を退治、上卿(しょうけい)・殿上人(てんじょうびと)が桃の弓で葦(あし)の矢を3本放って災厄を払います。

  • 2/2(水)~4(金)
    追儺式:2(水)18時
    火炉(かろ)祭:3(木)23時
  • 075-771-3788
  • www.yosidajinjya.com
  • 出町柳駅下車 東へ徒歩約20分

吉田神社の周辺地図

鬼やらいの様子

ココがツウ

疫神斎(えきじんさい)厄除けを意味するくちなし色のお札「疫神斎(えきじんさい)」が節分祭の3日間だけ授与されます

鬼法楽

廬山寺(ろざんじ)

ユーモラスな鬼おどりで厄除開運

開祖の元三(がんざん)大師が修行を妨害する鬼を退治したという故事にならう追儺式。たいまつやおのを持った赤・黒・青の鬼が踊りながら祈とうを邪魔しますが、追儺師や福娘に豆や餅を投げられて退散します。

  • 2/3(木)
    追儺式鬼法楽:15時
    豆まき:16時
  • 075-231-0355
  • www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/
  • 出町柳駅下車 南西へ、
    神宮丸太町駅下車 北西へ徒歩約15分

廬山寺の周辺地図

鬼法楽の様子

ココがツウ

廬山寺でまかれる豆は紅白の「蓬莱(ほうらい)豆」と言い、一粒ずつ食べると寿命が延び、福餅を食べると開運出世すると言われています

福豆まき

八坂神社

祇園さんの華やかな豆まき

4つの花街(祇園甲部・祇園東・先斗町・宮川町)の芸妓・舞妓さんによる、舞踊奉納と豆まきが行われます。

八坂神社の周辺地図

福豆まきの様子

  • 2/2(水)・3(木)
    舞踊奉納:2(水)・3(木)13時・15時
    舞楽奉納:2(水)14時
    今様奉納:3(木)11時
    豆まき:各奉納後に行われます
  • 075-561-6155
  • web.kyoto-inet.or.jp/org/yasaka
  • 祇園四条駅下車 東へ徒歩約5分

こんな節分行事も

[お化け]祇園一帯

節分に現れる鬼を普段とは違う格好をして驚かせ、追い払うという風習。古くは一般家庭で行われていましたが、現在は花街などに残るのみになり、この日祇園の花街では芸妓・舞妓さんの仮装姿が見られます。

  • 2/2(水)・3(木)
  • 祇園四条駅下車

芸妓・舞妓さんの仮装姿

<ポイント!>節分祭の主役たち 追儺式に登場する主な役柄を紹介します

鬼
鬼が嫌うヒイラギとイワシ

「ヒイラギのトゲ」と「イワシの匂い」は鬼が嫌うとされ、節分の夜、ヒイラギの枝に焼いたイワシの頭を刺したものを玄関などに飾り、魔除けにする風習があります。

ココがツウ

注連縄(しめなわ)にボラの頭とヒイラギを飾った平安時代の風習に由来するもので、鎌倉時代にイワシに変化したと言われます

心の中にひそむ悪い心の表れで、人間の苦しみの原因である毒素(貪欲・怒り・愚痴)などを象徴すると言われています。

方相氏

平安時代の宮中で鬼を払う役目を担った役人。童子(わらべ)を従え、四つ目の仮面をつけ、手に矛と盾を持って鬼を退治します。

上卿・殿上人

天皇の使者。桃の木で作った弓と葦の矢を持って方相氏を援護し、鬼を追い払います。

制作:2011年1月
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