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京都ツウのススメ

第百四十七回 明治の京都画壇

新時代の日本画を担った画家たち明治時代の文明開化は日本画にも大きく影響を与えました。日本画の近代化を目指した人々について、らくたびの田中昭美さんが紹介します。

基礎知識

其の一、

江戸時代の絵の様々な流派が京都画壇の源となりました

其の二、

発展していく東京画壇に対抗するため、流派を超えて切磋琢磨(せっさたくま)しました

其の三、

京都府画学校が設立され、京都画壇の画家たちが指導に当たりました

原点は江戸時代の流派

京都画壇とは、近世・近代の京都で活躍した画家たちの総称です。その原点は江戸時代に活躍した狩野派・土佐派などの幕府や大名に仕えた御用絵師と、町中で絵を描いていた円山派・四条派などといった町絵師たち。明治時代初期の京都は江戸時代から続く流派が画壇の基盤でしたが、中期になると、流派を超えて結成された画家団体・如雲社(じょうんしゃ)の活動をはじめ、過去の流派様式に縛られない日本画を目指すようになります。

新しい日本画表現の模索

1886(明治19)年に京都で講演をしたアメリカ人で、東洋美術史家のアーネスト・フェノロサは、「東京画壇の進歩に比べ、京都の画家は流派にこだわり、様式に固執している」と指摘し、新時代にふさわしい日本画の発展を促します。刺激を受けた京都画壇は新しい日本画表現を熱心に模索。四条派の幸野楳嶺(こうのばいれい)は如雲社から離れ、鈴木派の久保田米僊(べいせん)、望月派の望月玉泉(ぎょくせん)らと共に京都府画学校を設立し、次代を担う画家たちを育成しました。

京都画壇の活性化に尽力した 明治の中心的な画家たち

幕末から明治20年代にかけ、多くの画家たちが近代日本画を模索しました。※流派は一例

円山派

写生画で一世を風靡(ふうび)した円山応挙(まるやまおうきょ)が祖。

森寛斎(かんさい)

温和で情趣的な画風で、円山派の毛描き技法などを伝えつつ、南画(中国絵画の南宗画に由来)の「にじみ」や「かすれ」など墨の多彩な表現で描く手法を取り入れ、臨場感のある表現を追求。「明治の応挙」と呼ばれました。門下に山本春挙(しゅんきょ)など。

望月派

天正年間(1573〜93年)から続く写生を基本とした絵師の家系。

望月玉泉(ぎょくせん)

日本画家の家系の4代目。円山派・四条派を取り入れ、山水・花鳥画を得意とします。

望月玉泉ほか京都府画学校教員による「京都府画学校教員寄合書画軸」より(部分)京都市立芸術大学芸術資料館蔵

京都府画学校教員寄合書画軸

四条派

与謝蕪村に学び、写生画に伝統的な装飾性を調和させた
呉春(ごしゅん)が礎に。

菊池芳文「春の夕・霜の朝」(右隻) 京都市美術館蔵

菊池芳文「春の夕・霜の朝」(右隻) 京都市美術館蔵

塩川文麟(ぶんりん)

初期は蓮華光院(現・安井金比羅宮)のお抱え絵師として中国山水画風の作品を描いてきましたが、幕末以降は西洋画の技法も取り入れ、京都や滋賀の風景を叙情的に描く作風に。

幸野楳嶺(こうのばいれい)

塩川文麟に師事。花鳥画・風景画・人物画・文人画など幅広く手掛けています。門下には竹内栖鳳(せいほう)・菊池芳文(ほうぶん)・都路華香(つじかこう)・谷口香嶠(かきょう)、川合玉堂(ぎょくどう)などがいます。

ここがツウ

幸野楳嶺に師事した竹内栖鳳、菊池芳文、都路華香、谷口香嶠の4人は「楳嶺四天王」と呼ばれ、若手の育成など明治から昭和の近代京都画壇を牽引しました

鈴木派

諸流派の良い部分を取り入れた画風で、明治時代に一大勢力を形成。

鈴木百年(ひゃくねん)

鈴木派の祖。独学で諸流派の作風を学び、中国絵画や与謝蕪村の俳画・南画の模写・円山派の写生図などで技術を磨きました。長男・松年(しょうねん)ら息子たち、今尾景年(けいねん)、久保田米僊などが門下に。

久保田米僊(べいせん)

鈴木百年に師事。写生を基本に力強いタッチの風景画で知られるようになり、歴史画・風俗画・漫画・小説の挿絵も手掛けました。1889(明治22)年にフランスへ遊学し、パリ万国博覧会で「水中遊漁」が金賞を受賞。

鈴木百年 「七福神図」(部分)
京都市立芸術大学芸術資料館蔵

七福神図

如雲社(じょうんしゃ)

展覧会を月に1度開催するなど、流派を超えて互いに切磋琢磨することを目的として幕末に結成。明治時代初期までは狩野派・土佐派が主導していましたが、やがて円山派の森寛斎、四条派の塩川文麟、鈴木派の鈴木百年が中心に。

ここがツウ

1873(明治6)年の第2回京都博覧会へ、総勢約50名の画家が如雲社として参加。即興で絵画を描くパフォーマンスを行いました

京都府画学校

1880(明治13)年に開校した日本初の公立の絵画専門学校で、現在の京都市立芸術大学の前身。京都美術界の復興を目指して近代化し、日本画だけでなく南画や文人画・大和絵・西洋画などを学び、新しい美術表現を生み出すために設立。現在まで続く京都の美術界の発展の礎となりました。

ここがツウ

女性として初の文化勲章を受章した上村松園(しょうえん)は1887(明治20)年に京都府画学校に入学。その後、鈴木松年、幸野楳嶺、竹内栖鳳に師事しました

上村松園 「人生の花」

上村松園 「人生の花」京都市美術館蔵

制作:2020年10月
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