京都ツウのススメ

第七十五回 京の名僧

[古都で躍動した 名僧]仏教伝来とともに、数多くの名僧が新しい教えを切り開いていく舞台となった京都。名僧たちのエピソードやゆかりの地を、らくたびの山村純也さんが案内します。(伝教大師大尊像)

京の名僧の基礎知識

其の一、
6世紀に仏教が日本に伝来するとともに、仏の教えを伝える多くの僧が生まれました
其の二、
平安時代、後世に大きな影響を与えた僧、最澄(さいちょう)と空海(くうかい)が登場しました
其の三、
鎌倉時代、法然(ほうねん)や親鸞(しんらん)が新しい形の仏教の教えを広めました

仏教伝来とふたりの名僧

仏教は、飛鳥時代に中国大陸から日本へ伝来し、奈良時代には政治と密接な関わりを持つ国家宗教としての基礎が築かれました。こうした政治と結び付いた仏教からの脱却を目指し、平安京に都を移した桓武天皇が重用したのが、最澄と空海です。ふたりは、朝廷の信頼を厚く受けて遣唐船団の一員として唐へ渡って密教を学んだ後、それぞれ天台宗と真言宗を創始。後に全国にいる多くの僧や民衆に大きな影響を与えました。

新仏教とその発展

平安時代中期、都では来世の幸せを願う浄土信仰が流行し、民衆に念仏を広めた空也(くうや)や、歌人として知られる西行(さいぎょう)が活躍しました。鎌倉時代に入ると、法然や親鸞、栄西(えいさい)などが「鎌倉新仏教」と呼ばれる独自の宗派の開祖として、民衆に仏教を布教。室町時代には、これらの宗派は天皇や幕府が信仰した夢窓疎石(むそうそせき)や信徒を組織化した蓮如(れんにょ)などにより、大きく発展を遂げます。現在、日本の仏教は十三宗五十六派となり、激動の時代を駆け抜けながら人々を導いた名僧たちの教えは、今もなお深く根付いています。

[仏の教えを広めた名僧たち] 平安時代から室町時代にかけて、日本の仏教が形作られていく重要な舞台となった京都。
各時代に登場した名僧たちを紹介します。

奈良時代

国の宗教として仏教が発展し、東大寺の大仏を建立した行基(ぎょうき)や、唐から来日した盲目の僧・鑑真(がんじん)などが登場しました。

平安時代

最澄や空海によって、山岳で修行する仏教が発展し、特別な修行をしてそれを修得した人だけが理解できる秘密仏教(密教)が誕生しました。

延暦寺の生みの親 最澄 767(神護景雲元)~822(弘仁13)年

伝教大師像 比叡山延暦寺蔵

幼い頃から神童として頭角を現し、桓武天皇からも認められた僧。唐で学んだ後に「すべての衆生は仏になることができる」と教えを説く日本天台宗を開宗し、比叡山延暦寺を開きました。伝教大師とも呼ばれ、空海とは同時代に活躍しました。

ゆかりの地 比叡山延暦寺
788(延暦7)年に最澄が開いた天台宗の総本山。法然や親鸞、栄西など多くの名僧を輩出し“日本仏教の母山”と仰がれています。

ココがツウ823(弘仁14)年、国を鎮護する寺として朝廷から期待され、寺の名に開創時代の年号である「延暦」が与えられました

“弘法さん”と親しまれる天才 空海 774(宝亀5)~835(承和2)年

弘法大師像 東寺蔵 写真提供:便利堂

唐で密教の奥義を学び、帰国後に「生きながら仏になる即身成仏」を説く真言宗を創始。823(弘仁14)年、嵯峨天皇から東寺を与えられ真言密教の根本道場としました。書道の名手としても知られ、弘法大師とも呼ばれています。

ゆかりの地 東寺
空海の構想を元に、21体の仏像を講堂内に配置し、密教の教えや仏教の世界観を絵にした曼荼羅(まんだら)を立体的に表現。空海没後、4年を経て完成しました。

ココがツウ綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)は、空海が東寺に設立した日本で初めての庶民の学校です。多くの子弟に仏教だけでなく、芸術全般の教育をしました

鎌倉時代

比叡山延暦寺からは多くの名僧が生まれ、法然をはじめとする延暦寺出身の僧が新しい宗派を確立しました。

専修念仏を唱えた革命者 法然 1133(長承2)~1212(建暦2)年
比叡山で天台教学を学んだ後、現在の浄土宗総本山となる知恩院の近くへ移り住み「南無阿弥陀仏」と唱えると、すべての人が救われ極楽浄土に往生できると説く、専修念仏の浄土宗を開祖しました。
禅宗を伝えた国際人 栄西 1141(永治元)~1215(建保3)年
当時、最新の仏法である禅を取り入れた臨済宗の開祖。14歳で比叡山に入り、2度宋に渡って禅を学んだ後に禅宗を広め、京都最古の禅寺である建仁寺を創設しました。
建仁寺

ココがツウ宋から持ち帰った茶木で茶の栽培を始め、喫茶の習慣を日本に広めた茶祖としても有名です

阿弥陀(あみだ)信仰の開祖 親鸞 1173(承安3)~1262(弘長2)年
阿弥陀如来による絶対他力の思想をもつ浄土真宗の開祖。9歳から比叡山で20年修行した後、山を下り、法然の弟子になります。布教活動の中、当時では珍らしく結婚をし、妻子のいる僧でした。

親鸞聖人像 奈良国立博物館蔵 撮影:森林欣司

室町時代

禅宗や浄土真宗など諸宗派が発展し、臨済宗の寺は幕府の官寺として繁栄しました。

制作:2014年6月
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