京都ツウのススメ

第七十三回 糺(ただす)の森

[神秘に包まれるパワースポット 糺の森] 世界遺産・下鴨神社を取り囲む原生林、糺の森の七不思議について、らくたびの山村純也さんがご紹介します。

糺の森の基礎知識

其の一、
糺の森は、下鴨神社の社(やしろ)を囲んでいる、いわゆる鎮守の森です
其の二、
葵祭など多くの伝統行事が開催される舞台となります
其の三、
不思議な言い伝えが多く残り、パワースポットとしても知られます

市街にある広大な森林

京都市の北東部を流れる賀茂川と高野川の合流点に位置する糺の森は、太古の原生林を残す森です。この地に下鴨神社がまつられたのは紀元前90年よりも前のことで、平安時代にはこの三角州全域が下鴨神社の境内でした。室町時代の戦乱や明治時代初期の社寺領の没収などを経て、現在は約40分の1の広さになってしまいましたが、それでも東京ドーム3つ分もあるという広い森林は、自然豊かな憩いの場として親しまれています。また“鴨の七不思議”など神秘的な言い伝えも多く、近年はパワースポットとしても注目を集めています。

糺の森の由来

糺の森の語源には古来いくつかの説がありますが、「神の前で偽りを糺す(真偽や罪の有無を追及する)」が語源という説が有名です。『源氏物語』や『枕草子』にも、糺の森に鎮座する下鴨神社やその摂社の祭神「糺の神」を詠んだ歌が残っています。今も下鴨神社の多くの行事がこの森で執り行われ、京都三大祭のひとつである下鴨神社と上賀茂神社の例祭・葵祭をはじめ、流鏑馬神事(やぶさめしんじ)や御蔭祭(みかげまつり)、夏の御手洗祭(みたらしまつり)(足つけ神事)などが有名です。

糺の森のヒミツ あまり知られていない、歴史ある糺の森に伝わる“鴨の七不思議”や隠れた名所に迫ります。

鴨の七不思議 糺の森には“鴨の七不思議”として語り継がれている不思議な事象があります。

何でも柊

連理の賢木

赤椿

泉川の石(鳥縄手)

御手洗池の泡

船ヶ島・奈良社旧跡

切芝

摂社の比良木社(ひらきしゃ)の周りにある木は、その種類にかかわらず、すべてヒイラギのようなギザギザの葉になるとか。

連理の賢木の画像

相生社(あいおいしゃ)の横に生えている3本のサカキのうち2本が、幹の中ほどでつながっているのは縁結びの神の力によるものだと伝わります。

下鴨神社の神職は位が高く、薄い紫色の衣を着用しましたが、神社を訪れる使いの役人の多くは身分が低く、赤色の衣を着用していました。そこで彼らの赤い衣が目立たないように、赤椿を植えたと言われ、冬の参道は赤い花で彩られます。

紅葉橋のたもとには、かつて“雨乞い祈願の小烏社(こがらすしゃ)”と呼ばれた社があり、願いが通じ雨が降ると泉川の石が飛び跳ねたそうです。

御手洗池の泡の画像

土用の丑(うし)の日には御手洗池から清水が湧き出し、水泡が吹き上がると伝わり、この日に池の水に足を浸すと病気にかからないとされます。健康祈願の足つけ神事は今も行われています。

ココがツウこの界隈の名物として知られるみたらし団子。
由来には諸説ありますが、鎌倉時代に
後醍醐天皇が訪れ、御手洗池の水をすくうと
5つの泡が浮かび上がったことにちなむという説が有名です

戦乱や干ばつの際には、御手洗川と泉川の三角州にある船ヶ島辺りの流れをかき回すと、小石が跳ねて世相が落ち着くと言われています。

糺の森の中心に位置する、古くからの祭場で、御蔭祭の切芝神事が行われます。

隠れた名所・史蹟 広大な糺の森の中には知られざる名所や史蹟も少なくありません。そのいくつかをご紹介しましょう。

糺の森を流れる小川

4つの小川が流れる糺の森。御手洗池を水源とする御手洗川、高野川を水源とする泉川、平安時代にあった古い流れが復元された奈良の小川、その奈良の小川が賀茂川を水源とする地下の水流と合流した瀬見の小川です。森の木々を縫うように流れる清水は、古来より和歌にも詠み継がれています。

手水舎の画像 手水舎 マップA

参拝前に手と口を清める手水舎には、祭神の神話伝承にちなんだ舟形の石が使われ、樋(とい)は糺の森の樹齢600年のケヤキで作られています。

ココがツウ日本三大随筆のひとつ『方丈記』を書いた鴨長明は、河合神社の神官の家系に生まれました。河合神社には「方丈庵」が復元されています

河合神社

摂社の河合神社は、女性を守る女神をまつる神社。手鏡の形をした絵馬を奉納して美顔を祈願する女性が絶えません。

さざれ石 マップB

楼門の南にまつられている石。「君が代」にも詠われているように、さざれ石つまり元来は小さな石が、年月とともに成長し、ついに岩となった神霊の宿る石とされます。

第一蹴の地の画像 第一蹴の地 マップC

流鏑馬神事の舞台となる馬場の中央付近にある記念碑。1910(明治43)年に、第三高等学校(京都大学の前身)の学生がラグビーボールを初めて蹴った場所とされ、関西におけるラグビー発祥の地となりました。

制作:2014年4月
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