京都ツウのススメ

第二十三回 涅槃会(ねはんえ)

[釈迦の遺徳をしのぶ 涅槃会]毎年3月15日前後に行われる涅槃会は釈迦に感謝を捧げる大切な仏教行事。春を告げる京の風物詩としても知られる涅槃会をらくたびの山村純也さんがご案内。

涅槃会の基礎知識

其の一、
釈迦が亡くなった旧暦2月15日(新暦の3月15日前後)に行われる法要です
其の二、
涅槃会では、涅槃図が掲げられます
其の三、
京都に春を告げる風物詩として親しまれています

釈迦の命日をまつる涅槃会

約2500年前の旧暦2月15日、仏教の開祖・釈迦は最後の教えを残して80歳の生涯を終えました。仏教では人の死と区別して、その死を涅槃と言い、毎年3月15日前後に釈迦の残した教えや徳に感謝する涅槃会が行われます。4月8日に行われる誕生を祝う仏生会(ぶっしょうえ)、12月8日に行われる悟りを開いた日を記念する成道会(じょうどうえ)とともに、釈迦に関する三大法要と呼ばれています。日照りや疫病の流行など社会不安が広がった平安時代末期、極楽往生を願う浄土信仰の隆盛とともに、仏教行事として定着したと言われています。

涅槃会の本尊「涅槃図」

涅槃会では、本堂などに釈迦の臨終の姿を描いた「涅槃図」を本尊として掲げ、釈迦の最後の説法を記した「遺教経(ゆいきょうぎょう)」を読みます。北を枕に西を向いて横たわる釈迦が描かれた涅槃図は、仏教の究極の理想である“悟りの世界”を表しているとも言われ、見る者に深い感銘を与えてくれます。京都でも、多くの寺院でこの涅槃会が行われ、中でも東福寺・泉涌寺の涅槃会は日本でも有数の大涅槃図が公開されることで有名です。

仏教の教えを説く 涅槃図の見方 釈迦と、その死を嘆き悲しむ弟子たちや鳥獣が描かれており、かつては仏教の教えを広く説く手段としても用いられた涅槃図の見方をご紹介します。

沙羅双樹の木

釈迦が亡くなると、沙羅双樹の花が季節外れの白い花を一斉に咲かせ、すぐに花を散らして釈迦の遺体を覆ったと言います。東福寺の涅槃図では、手前に見える木は、悲しみのあまり枯れてしまっています。

ココがツウ

沙羅双樹の“双樹”という呼び名は、釈迦が亡くなった時、その宝台の四方に沙羅の木が2本ずつあったことに由来すると言われています

薬袋

釈迦の母・摩耶夫人(まやぶにん)が病床の我が子を助けるために天から投げた薬袋。ところが、この薬袋は沙羅双樹の木に引っ掛かって釈迦の元に届きません。誰であっても死を逃れることはできないということを意味しています。

ココがツウ

このエピソードは、現在も病気にかかった患者に薬を与える「投薬(とうやく)」の語源と言われています

涅槃図 東福寺

釈迦の遺体

中央の宝台(ほうだい)の上に釈迦が頭を北にして横たわっています。これが死者を北枕に安置する由来と言われています。また、右脇を下にして、顔は阿弥陀如来のいる西方極楽浄土を向いていると言われています。

動物

弟子や天女のほか、ねずみ・牛・虎など十二支の動物や昆虫たちも集まって、釈迦の死を嘆いています。生きとし生きるものすべてに慈しみを施した釈迦の徳を象徴的に表しています。

ココがツウ

50種類以上の動物が描かれているという東福寺の涅槃図には通常の涅槃図では見られない猫が象の足元に描かれており、「猫入り涅槃図」と呼ばれています
写真協力:星野佑佳

TOPIC
厄除けのあられ「はなくそ」

涅槃会で授与されるあられ。正月飾りの鏡餅を砂糖やしょうゆなどをかけていったもの。見た目と音が似ていることから「釈迦の鼻くそ」と揶揄(やゆ)され、「花供御/花御供(はなくそ)」と呼ばれます。これを食べると1年間無病息災で過ごせると言われています。

本堂(仏殿)で公開される涅槃図は、室町時代の画僧・吉山明兆(きっさんみんちょう)が描いた縦約12m・横約6mの大作。期間中は「花供御」(300円)が振る舞われます。

  • 3/14(日)~16(火)9時~15時30分(受付)※最終日は15時まで
  • 075-561-0087 www.tofukuji.jp
  • 東福寺駅下車 南東へ徒歩約10分

縦約16m・横約8mもある日本最大級の涅槃図は、江戸時代中期の僧・明誉古(めいよこかん)の作。本来、奈良・東大寺に奉納する予定で制作されたものと言われています。

  • 3/14(日)~16(火)9時~16時(受付)
  • 大人500円・小中生300円 ※「花御供」は500円
  • 075-561-1551 www.mitera.org
  • 東福寺駅下車 東へ徒歩約20分
制作:2010年2月
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