沿線おでかけ情報

京阪沿線の名橋を渡る vol.28

京阪沿線の名橋を渡る シリーズ28

三井寺 村雲橋(みいでら むらくもばし)

宗祖である円珍(智証大師(ちしょうだいし))の偉大さを伝える、ひっそりと小ぶりな石造の反り橋。若一光司

日本から唐代の中国に渡って密教の移入に貢献した8人の僧侶(最澄・空海・常暁・円行・円仁・恵運・円珍・宗叡)のことを、「入唐八家(にっとうはっけ)」と総称する。これらの8人については彫像や肖像画などが遺されているので、それを手がかりとして、生前の顔立ちや風貌(ふうぼう)を推察することができる。

もちろん8人とも、並外れた学才や意志力を備えた高僧であり、それ相応の威厳や風格に満ちた外貌をしているが、その中でも特に印象的な顔をしているのが、円珍だろう。

滋賀県大津市の天台寺門宗総本山三井寺(園城寺)には、宗祖として尊崇される円珍(智証大師)の木造座像が複数伝えられ、2点は国宝にもなっている。そしてこれらの円珍像に共通するのが、頭頂(頭のてっぺん)が異様に尖(とが)った卵型、もしくは、オムスビ型の顔をしていることである。

当時、こうした輪郭の頭には「予知能力や霊視能力」が宿ると考えられ、円珍自身も唐に留学中に現地の高僧から、「あなたの頭の形は霊骸と呼ばれ、殺してでもその頭を欲しがる者がいるので、注意しなさい」などと言われている。

814(弘仁5)年に讃岐国(現在の香川県)で生まれた円珍は、15歳で比叡山延暦寺座主の義真に師事。12年間の籠山修行を経て真言学頭となった後、39歳で入唐求法の旅に出た。

唐の各地を遍歴して密教の奥旨を究めた円珍は、膨大な経典を携えて858(天安2)年に帰朝。やがて延暦寺第5代座主となり、伝法潅頂(かんじょう)の道場として、園城寺を再興した。

園城寺には、天智・天武・持統天皇の産湯に用いられた霊泉が湧いており、「御井(みい)の寺」とも呼ばれていたが、円珍がその霊泉を三部潅頂の法儀に用いたことから、いつしか「三井寺」の名が広く親しまれるようになったという。

三井寺の広大な境内には、国宝である金堂・新羅善神堂・勧学院客殿・光浄院客殿に加えて、重文の一切経蔵・釈迦堂・三重塔・鐘楼・唐院潅頂堂・唐院大師堂など、数多くの伽藍が配置され、境内案内図に頼らなければ道に迷うほどだ。

そして、その案内図に記載された唯一の橋として異彩を放つのが、金堂前の参道の中ほどにある「村雲橋」だ。

勧学院の石垣の手前に架かる村雲橋には、「この橋から西空を仰いだ円珍が、入唐中に学んだ長安の青竜寺が燃えているのを感知し、直ちに真言を唱えて閼伽水(あかみず)(仏前に供養される水)を撒(ま)いたところ、橋下から一条の雲が湧き起こり西に飛び去った。翌年、青竜寺から鎮火のお礼の使者が来たことから、この橋は村雲橋(むらがり立つ雲の橋)と呼ばれるようになった」との伝承が遺されている。

三井寺にはこれ以外にも、「恩師である元璋阿闍梨(げんしょうあじゃり)が唐で入滅したのを霊視した円珍が、突然に号泣した」といった「円珍の超能力」にまつわる話が、種々伝えられている。

三井寺 村雲橋(みいでら むらくもばし)
◆ 滋賀県大津市園城寺町246
◆ 三井寺駅下車 西へ徒歩約10分

しかし円珍自身は終生、経典の収集に情熱を注ぎ、老いてなお真理の追究に余念のない学僧でもあり続けた。

現在の村雲橋は石造で、江戸時代に架け替えられたゆるやかな反り橋だが、小ぶりな上に参道の景観に溶け込んでいるため、ほとんどの参拝者が意識することなく渡っていく。

そんな村雲橋に佇(たたず)み、不死鳥の如く幾多の苦難を克服してきた三井寺の歴史を思うとき、この寺を貫く円珍(智証大師)への信仰の厚さが、今更ながらひしひしと痛感される。

三井寺 村雲橋付近をのんびり散策

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開運そば

かいうんそば

円満院の境内にあるそば店。開店時からの看板メニューの「開運そば」は、カツオと昆布が利いた上品なつゆにたっぷりのそばが入った一品です。壁一面に飾られた日本各地の絵馬も見もの。

  • 11時~17時
    火曜(祝日を除く)
  • 077-524-8262
  • 滋賀県大津市園城寺町33
  • 三井寺駅下車 北西へ徒歩約10分
おすすめメニュー・店内写真 おすすめメニュー・店内写真

近江牛 品川亭

おうみぎゅう しながわてい

地元の人に愛されて約100年の精肉店。総菜も人気で、コロッケにはA5・A4ランクの近江牛を使用。あっさりとした味付けで、じんわりとにじみ出てくる牛肉の旨味が楽しめます。

  • 11時30分~19時
    日曜休業
  • 077-524-2117
  • 滋賀県大津市浜大津3-5-23
  • 三井寺駅下車 西へすぐ
おすすめメニュー・店内写真 おすすめメニュー・店内写真

大津絵の店

おおつえのみせ

江戸時代に東海道を往来する旅人の土産として人気を集め、大胆な筆使いが印象的な民画・大津絵。その伝統技を唯一伝える当主・高橋信介さんが手掛けた大津絵作品などを販売しています。

  • 10時~17時
    第1・3日曜休業
  • 077-524-5656
  • 滋賀県大津市三井寺町3-38
  • 三井寺駅下車 南西へ徒歩約10分
おすすめメニュー・店内写真 おすすめメニュー・店内写真
制作:2019年1月
価格・営業時間・電話番号等が変更される場合がありますので、
おでかけ時には、ご確認くださいますようお願い申し上げます。
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