江戸時代以来、数ある大阪の橋の中でもっとも重要視されてきたのが、「浪華(なにわ)の三大橋」と呼ばれる、難波橋・天神橋・天満橋だ。
そして、その天満橋から400mほど上流に、「浪華の三大橋」とは好対照とも言える、小ぶりながらも見事なまでに瀟洒(しょうしゃ)な美しさを誇る橋が架かっているのを、ご存じだろうか。
その橋の名は「川崎橋」というが、実は正直なところ、大阪で生まれ育って64年にもなる私自身、つい10年ほど前までは、この橋の全貌を肉眼で目にしたことがなかった。
大川に架かる川崎橋は、大阪市北区天満と都島区網島町を結んでいる。その網島町側の橋のたもと付近には、テレビ大阪や日本経済新聞社など、私がよく出入りする場所もある。
なのに、私が長く川崎橋を目にしたことがなかったのは、まず第一に、土佐堀通などの近辺の道路からは建物や鉄道橋が障害となって、川崎橋が見えないこと。そして第二に、この橋が自転車・歩行者専用橋で、自動車では近づけないため、たまたま車で通りがかって目にする、という機会がないことによる。
徒歩でも自転車でも、とにかく自力で渡る前提で足を運ばなければ体験できないのが川崎橋なのだが、反面、そこにこそ、この橋ならでは希少性と独自の魅力が存在する。
そこに目をつけた資産家が、明治に入ってほどなく私費で「川崎橋」を架けたものの、通行料を徴収される有料橋だったため、「銭取り橋」と呼ばれることもあったという。
その木造橋が1885(明治18)年の大洪水で消失した後、国土交通省が全国的に整備を進める大規模自転車道のひとつである北大阪サイクルライン(大阪市北区中之島〜大阪府吹田市千里万博公園)の一部として、現在の川崎橋が架けられたのは、1978(昭和53)年のこと。
橋長約129.2m、幅員約3mの二径間連続斜張橋(にけいかんれんぞくしゃちょうきょう)である川崎橋には、ロックドコイルロープのケーブルが使用され、その端部定着には日本で初めてハイアムアンカーが採用されるなど、当時の先端技術が用いられている。
また、河岸公園地にふさわしい開放感と環境調和を目指した瀟洒なデザインへの評価も高く、土木学会から賞を受けただけでなく、「浪速の名橋50選」にも選定されている。
私も10年ほど前に初めて川崎橋を訪れてからは、仕事のついでに時折立ち寄り、橋上で佇たたずむのを楽しみとするようになった。
この橋からの眺めが特に話題に上るのが、桜の開花期や天神祭の頃だが、橋上からの何げない日常の景観もまた、都心では得難き爽快さで、乾いた心を和ませてくれる。
中でも特に私のお気に入りなのが、「水の都」ならではの情緒溢れる、天満橋方面の夜景だ。疎遠になる一方の水辺への郷愁も相まって、まことに心震わせる美しさである。
和菓子の英華堂 大阪天満宮店
わがしのえいかどう おおさかてんまんぐうてん
大阪天満宮近くの和菓子店。1番人気は、黒糖を練り込んだ生地でこしあんを包み、低温でゆっくり揚げたかりんとう饅頭。サクサクとした生地の食感と、しっとりとしたあんのバランスが絶妙です。

European Bar calvados
ヨーロピアン バー カルヴァドス
スペインを中心にヨーロッパの家庭料理とワインが楽しめる、大川沿いにあるバル。ランチは、旬の野菜などを使ったパスタとサラダ、パンのセット。店主が現地で買い集めたというアンティーク雑貨も魅力です。
- 12時~14時30分(L.O.)、18時~23時30分(L.O.)
月曜休業 - 06-6881-6000
- 大阪市北区天神橋1-1-1
- 天満橋駅下車 北西へ徒歩約10分

価格・営業時間・電話番号等が変更される場合がありますので、
おでかけ時には、ご確認くださいますようお願い申し上げます。
- シリーズ29 下鴨神社 輪橋(反り橋)
- シリーズ28 三井寺 村雲橋
- シリーズ27 指月橋
- シリーズ26 東福寺 通天橋
- シリーズ25 上賀茂神社 橋殿
- シリーズ24 喜撰橋
- シリーズ23 星のブランコ
- シリーズ22 泰平閣
- シリーズ21 水晶橋
- シリーズ20 法成橋
- シリーズ19 流れ橋(上津屋橋)
- シリーズ18 天ヶ瀬吊り橋
- シリーズ17 中立売橋
- シリーズ16 近江大橋
- シリーズ15 第11号橋
- シリーズ14 渡月橋
- シリーズ13 川崎橋
- シリーズ12 社家町の石橋
- シリーズ11 大宮橋
- シリーズ10 淀屋橋
- シリーズ9 七条大橋
- シリーズ8 安居橋
- シリーズ7 梶取橋
- シリーズ6 一本橋
- シリーズ5 難波橋
- シリーズ4 祇園巽橋
- シリーズ3 瀬田の唐橋
- シリーズ2 宇治橋
- シリーズ1 三条大橋