京都の清水寺の、年間参詣者数に関する公式データは存在しないが、「約500万人」と記している資料もある。とすると、毎日13,000人以上が「清水参り」をしていることになるが、たしかに、いつ訪れても人の多さには圧倒される。かの清少納言も『枕草子』で、「さはがしきもの」の例として清水寺の縁日を挙げている。すでに平安の昔から、清水寺は多くの参詣者を集めていたのだ。
「清水の舞台」として知られる本堂の舞台や、寺名の由来となった「音羽の滝」、それに、仁王門や三重塔、鐘楼など、境内に見所があふれていることに加え、桜や紅葉や雪景色といった、四季の景観変化の見事さが、これほど多くの人を引きつけるのだろう。門前町を構成する清水坂・三年坂・二年坂などの風情や賑わいも、清水参りならではのハレ気分を高める、大切な要素となっている。
1994年に「古都京都の文化財」の一つとして世界文化遺産に登録され、外国人観光客がさらに増えたが、「東寺の五重塔や八坂の塔(法観寺五重塔)より、清水寺の三重塔に強い関心を示す外国人客が多い」と、複数の通訳案内士から聞いたことがある。「色褪せてワビサビ的な美しさの古塔より、彩色も鮮やかな清水の三重塔の方が、仏塔本来の姿を理解しやすい」ということかもしれない。
清水寺の三重塔は、平安時代初期の847(承和14)年に建立されたが、その後たびたび焼失。1632(寛永9)年に再建されたものが、今に伝えられている。1987(昭和62)年の解体修理時に、再建当初の朱の総丹塗りとともに、桃山様式を示す極彩色文様が復元され、鮮やかな姿をよみがえらせた。その彩色文様の緻密さや配色の妙には感嘆させられるが、大日如来像を祀る祀塔の内部にも、真言八祖像や密教仏画、飛天や龍が、極彩色で描かれている。
清水寺の三重塔は、高さが約31mもあり、日本でも最大級の三重塔として威容を誇ってきた。それが彩色復元されたことにより、まさに遠くからも近くからも、絢爛たる建築美を堪能できる塔となったのである。
ちなみに、この三重塔の各屋根の四隅には、鬼瓦が置かれているが、東南の角だけはなぜか、龍神の鬼瓦となっている。このことが「清水寺の七不思議」の一つともされてきたが、実は、京都の西北の愛宕山には火伏せの神が鎮座し、都を火災から護ってくれているのに、その反対側の東南方向は、手薄になっていた。そこで、水を司る神でもある龍を、東南向けの鬼瓦に戴くことで「火除けのおまじない」にしようとしたと、考えられている。
さて、広大な境内で主要な堂塔を巡った後は、ぜひ、「奥の院」や「子安の塔」に足をのばし、少し離れた距離からの「清水寺の遠景」も、味わっていただきたい。私は参詣時には必ず、子安の塔周辺からの眺めを楽しむことにしている。そしてそのたびに、この三重塔が、清水寺のみならず、東山全体の景観に、実に決定的な「鮮烈の美」を添えていることを、深く痛感させられるのである。
七味家本舗
しちみやほんぽ
七味唐がらしの老舗。香りに優れた国産の山椒(さんしょう)を多く含むマイルドな辛みの七味は、素材の味を生かす食文化が育まれた京都ならでは。七味を使ったドレッシングやお菓子なども人気です。
定番の「七味小袋・15g/420円」「一味小袋・15g/420円」。オリジナル容器とのセットは各1,207円
- 9時~18時
※12/4(日)までは21時30分まで、1/1(祝・日)は11時から - 075-551-0738
- www.shichimiya.co.jp
- 清水五条駅下車東へ徒歩約20分

夢二カフェ 五龍閣
ゆめじかふぇ ごりゅうかく
湯豆腐の有名店「順正」が手掛けるカフェ。レトロ建築「五龍閣」1階にあり、画家・竹久夢二の作品が飾られた大正ロマンあふれる空間で、京野菜を使ったランチ、豆腐・豆乳を使ったスイーツやドリンクが楽しめます。
おぼろ豆腐の大豆の甘みと、黒蜜・きな粉がマッチする「黒蜜とうふスイーツ(健康茶付)/600円」
- 11時~17時(L.O.) 不定休
- 075-541-7114
- 清水五条駅下車東へ徒歩約20分

局屋立春
つぼねやりっしゅん
清水新道(茶わん坂)にある和菓子店。ショーケースには華やかな生菓子や干菓子がずらり。茶房スペースでは、人気のわらびもちをはじめ、ぜんざい・葛(くず)きりなどの甘味を味わいながら、ほっとひと息つけます。
沖縄産黒糖を使った「黒糖わらびもち(抹茶付)/650 円」は、濃厚な甘みとぷるんとした食感が好評
- 10時~17時 水曜休業
- 075-561-7726
- www.kyoto-tsuboneya.com
- 清水五条駅下車東へ徒歩約20分

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