日本の紙幣に最多登場している人物は、聖徳太子である。1930(昭和5)年発行の百円札で初めてその肖像画が採用されて以来、1957(昭和32)年発行の五千円札や、翌年発行の一万円札など、計7回(7種類)にわたって登場。「聖徳太子=高額紙幣」という印象を世に定着させた。
聖徳太子がこうして「日本銀行券の顔」となったのも、「日本人が尊敬する歴史上の人物」の、代表的存在だったからだろう。
用明天皇の第二皇子だった聖徳太子は、推古天皇の摂政として、内政・外交に手腕を発揮。「冠位十二階」や「十七条憲法」を制定する一方、遣隋使を派遣するなどして隋との間に国交を開き、大陸文化の移入に努めたと伝えられる。
また、仏教の興隆にも奮励して、法隆寺や四天王寺を建立したが、『日本書紀』には四天王寺建立の経緯が、詳しく記されている。
排仏派の物部守屋と崇仏派の蘇我馬子が戦った際に、14歳だった聖徳太子は、蘇我氏に加勢。そして、蘇我氏の形勢が不利になったとき、みずから四天王(持国天・増長天・広目天・毘沙門天)の像を彫り、「勝たせていただけたなら、四天王を安置するための寺院を建立します」と誓願。それが通じたことから、四天王寺を建てて誓いを果たしたという。「四天王寺」の名も、そこに由来する。
聖徳太子が四天王寺建立に着手したのは593(推古天皇元)年で、現存する世界最古の木造建築として有名な法隆寺の創建よりも、20年ほど早い時期だった。
現在、四天王寺の西側入口には、神仏習合を象徴する石の鳥居(日本最古級で重要文化財)が立っているが、そのかたわらの「大日本仏法最初四天王寺」と刻まれた碑が示すように、四天王寺は日本で最初の官寺(朝廷によって建立された寺)なのである。
その後、天災や戦災で焼失と再建を繰り返した結果、「四天王寺式伽藍配置」によって南北に一直線に配置された、仁王門、五重塔、金堂、講堂等の中心伽藍は、いま、第2次世界大戦後に再建されたものと化している。
その中でも、ひときわ創建時の趣を感じさせて迫真なのが、1959(昭和34)年に再建された五重塔だ。都心部ゆえの建築規制もあり、鉄筋コンクリート製とはなっているものの、日本の飛鳥時代はもちろんのこと、高句麗や六朝などの建築様式も参照して復元されたその姿は、往時の美と信仰を伝えて、揺るぎなく荘厳である。
聖徳太子が仏舎利と六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)になぞらえ、みずからの髪6本を礎石心柱の中に納めたとの伝承から、「六道利救の塔」とも呼ばれるこの五重塔は、「日本の心」を仏教に託した聖徳太子の、まさに原点に連なる塔なのだ。
お彼岸やお盆、弘法大師の命日にちなんだ大師会(毎月21日)には、大勢の参拝客でにぎわう四天王寺だが、有料拝観区内にある五重塔の周辺は、いつ訪れても、いにしえの落ち着きに満ちている。都市の喧噪に心疲れた者の、大きな大きな救いの場でもある。

Boulangerie parigot
ブーランジュリ パリゴ
扉を開けると香ばしいにおいに包まれる、この道20年の店主が切り盛りするパン屋さん。棚には常時80~100種類も並び、特に長時間発酵させた食パンや、チーズやフルーツなどが入ったバリエーション豊富なバゲットが人気です。
(手前から)「黒豆とカスタードクリームのバンズ/180円」、オリーブとハーブ入りの「バゲットゾリーブ/240円」ほか
- 7時30分~20時 月、第1・3火曜休業
- 06-6774-5087
- 天満橋駅のりかえ地下鉄四天王寺前夕陽ヶ丘駅下車東へ徒歩約5分

Petit Souple
プティ スープル
フレンチ出身のシェフが、有機野菜を中心とした厳選食材で作るランチや、4月初旬までのジビエ(狩猟による鳥獣肉)が大好評。テークアウトできる無添加の総菜やワインも充実。気さくな雰囲気もうれしいレストランです。
キッシュやマリネなど7種類の料理が少しずつ楽しめ、野菜たっぷりの「プティ・ランチ/1,000円」
- 11時30分~14時(L.O.)/17時~21時30分(L.O.) 火曜休業
- 06-6774-0117
- www.wassys.co.jp/petit
- 天満橋駅のりかえ地下鉄四天王寺前夕陽ヶ丘駅下車南東へ徒歩約5分

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