第38回 京阪・文化フォーラム

第38回 国宝 石清水八幡宮本社 −神社建築と戦国武将の信仰−

本年2月、国宝に指定された石清水八幡宮。八幡造(はちまんづくり)と呼ばれる本殿などの神社建築と戦国武将たちの信仰について、宮司による講演と社殿の特別拝観により、その歴史を繙(ひもと)きます。

石清水八幡宮本社

日時
平成28年6月18日(土)10時~12時
平成28年6月19日(日)14時~16時
会場
石清水八幡宮

プログラム

石清水八幡宮 宮司 田中 恆清(たなか つねきよ)氏

[講演]
国宝 石清水八幡宮本社
-神社建築と戦国武将の信仰-
石清水八幡宮 宮司
田中 恆清(たなか つねきよ)氏
[参拝および社殿特別拝観]

レポート

会場外
会場中

緑深い男山の山上に建つ石清水八幡宮は、宇佐神宮(大分)、鶴岡八幡宮(鎌倉)と並んで日本三大八幡宮の一つに数えられます。平安時代初期の860(貞観2)年に創建され、公家や武家の厚い信仰を集める一方、厄除けの神社としても広く親しまれてきました。本年2月、これまで重要文化財であった本殿や楼門、廻廊など本社10棟の社殿群が国宝に指定されました。そこで、今回のフォーラムは、八幡造形式の本殿をはじめとする神社建築の特徴や価値を、戦国武将たちの歴史的エピソードを踏まえてひも解き、さらに参拝と社殿の特別拝観を通じて改めて国宝指定の意義を再確認しようと企画されました。当日は梅雨の晴れ間の青空が広がり、祝賀ムード漂う境内ではまばゆい輝きを放つ極彩色の社殿が堂々たる風格を見せていました。

■講演「国宝 石清水八幡宮本社 -神社建築と戦国武将の信仰-」

第1部の様子
第1部の様子

フォーラム前半は、研修センター(清峯殿)にて宮司・田中恆清さんによる講演が行われました。田中宮司はまず、今回の国宝指定に関して「10棟まとめての指定は極めて異例のこと」とお話しされました。実は、石清水八幡宮は1897(明治30)年に国宝になりましたが、1950(昭和25)年の文化財保護法施行により重要文化財になったそうです。今回国宝となったのは八幡造本殿ほか、摂社武内社本殿・瑞籬(みずがき)・幣殿および舞殿・楼門・東門・西門・廻廊3棟の計10棟と、建物の修理時に棟上される棟札(むなふだ)3枚が附(つけたり:参考資料となる付属物)指定となり、これにより京都府内の国宝建造物の棟数は奈良県を抜いて全国1位となりました。

さて、石清水八幡宮は859(貞観元)年、南都・大安寺の僧・行教が宇佐八幡宮から勧請を受けて翌年男山に創建したのが始まりです。以来、都の裏鬼門を守る国家鎮護の社として皇室の尊崇厚く、また神仏習合時代には男山全体に48もの宿坊が建てられ、全国から多くの武将が戦勝祈願に訪れました。その中の一つに豊蔵坊(ほうぞうぼう)という徳川家の祈願所があり、ここで家康が側室に迎えたお亀の方(石清水八幡宮縁者の娘)は後に尾張藩祖となる徳川義直の生母となりました。

石清水八幡宮にはこうした幾多の戦国武将にまつわる様々なエピソードが残っています。特に1046(永承元)年に源頼信が“源氏の氏神”と定めてからは、足利家・徳川家など清和源氏を名乗る武家から格別な庇護を得て社殿の修復や改築が行われてきました。

石清水八幡宮の現在の社殿は、織田信長、豊臣秀吉・秀頼らの修復再建を経て、1634(寛永11)年に徳川家光によって造営されました。前後2棟からなる本殿は、平行に並んだ内殿と外殿(げでん)を内部で一体化させた八幡造(はちまんづくり)と呼ばれる建築様式で、全国に4棟ほどしかない大変貴重な建物です。2005(平成17)年から始まった平成の大修造に際して再調査が行われ、「八幡造本殿が国内の同形式本殿の中では現存最古で最大規模である」こと、また「本殿などを廻廊で囲み一体化するという古代に成立した荘厳な社殿形式を保持している」という2点が高く評価され、本年2月9日をもって国宝昇格となりました。

田中宮司は「本殿の価値が認められたことは大変名誉なことで、この機会にぜひ多くの人にご覧になってほしい。石清水八幡宮は男山全山が国の史跡に指定されており、新緑の息吹と清涼な空気に包まれながら心身ともにリフレッシュしてください」と講演を締めくくられました。

■参拝および社殿特別拝観

第2部の様子
第2部の様子

フォーラム後半は参加者がいくつかのグループに分かれ、昇殿参拝と社殿の特別拝観が行われました。「祝・国宝」と書かれた垂れ幕が掲げられた南総門から境内に入り、参道を進むと正面に極彩色の楼門がそびえます。さらに右奥に進んで東門から昇殿、厳かな本殿前での正式参拝に幾分緊張した面持ちの方も見受けられました。ドーン、ドーンと打ち鳴らされる太鼓や拍手(かしわで)の音がピンと張り詰めた空気を振るわせ、まるで神様が近くにいらっしゃるような不思議な感覚におちいりました。参拝が終わると神職による社殿の解説が行われ、本殿から幣殿・舞殿、楼門へと続く社殿群の周囲を長さ約180mの朱の廻廊が取り囲む壮麗な国宝空間をじっくり見学することができました。

神職の案内で改めて本殿の屋根に注目すると、「M」字形に見える八幡造の構造が良く分かります。また流麗な桧皮葺(ひわだぶき)屋根が接するところに織田信長寄進による「黄金の雨樋(あまどい)」が架かり、石清水八幡宮を手厚く保護した天下人たちの痕跡を今に伝えています。このほか、本殿周囲の瑞籬に施された鮮やかな欄間彫刻や西門の蟇股(かえるまた)に施された「目貫きの猿」と呼ばれる彫刻など、社殿の細部に残る歴史や伝説が分かりやすく解説されました。

石清水八幡宮はこれまで何度も焼失と再建を繰り返しながら今日まで大切に受け継がれてきました。その歴史の集積は、日本人が大切にしてきた「あるものを生かしながら次世代につないでいく」という伝統が今日まで継承されてきた証でもあります。国宝指定の真の意義は、目に見える見事な神社建築だけでなく、こうした心の伝達にも見出すことができるのかもしれないと考えさせられました。

京阪・文化フォーラムは、今後も様々なテーマで開催いたします。みなさまのご参加をお待ちしております。

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