名品型録

万年筆にインクを染み込ませ、思いを込めて文字を書く...。パソコンで手軽に文字を打ち出せる今、改めてインクを使用するアナログな楽しさに注目が集まっています。

1943（昭和18）年に文房具の小売店として創業したデルタ・ジムサービスでは、2014年の堂島アバンザ店改装の際、万年筆のオリジナルインクとして『水都』シリーズを製作。『水都』は、色から水の都・大阪の風景が思い浮かぶよう調合された、インク好きの間で知られる名品です。

全10色の中でもとりわけ人気の色は、モダンな外観が異彩を放つ堂島薬師堂をイメージした「堂島緑金（どうじまりょっきん）」。時間帯によって金色にも深緑色にも見えるお堂になぞらえ、書き始めの鮮やかな緑から、紙へ染み込むことで深みのある緑へと変化。独特の不思議な色合いが魅力です。

「効率化が重視される時代だからこそ、インクを通して時間の経過を楽しむひと時を提供できたら」と3代目の前田社長。美しく移り変わる色を眺めつつ、感性を磨いたり、想像を膨らませたり。豊かな大人の時間が過ごせそうです。