京阪沿線 Art Collection

京阪沿線で開催される、注目の展覧会をご紹介します。今度の休日は、京阪電車で美術館・博物館にでかけてみませんか。

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クロード・モネ 《印象、日の出》 1872年 Musée Marmottan Monet, Paris (c) Christian Baraja 展示期間2016年3月1日(火)~3月21日(月・休)

クロード・モネ 《テュイルリー公園》 1876年 Musée Marmottan Monet, Paris (c) Bridgeman-Giraudon 展示期間2016年3月22日(火)~5月8日(日)

クロード・モネ 《ポンポン付きの帽子をかぶったミシェル・モネの肖像》1880年 Musée Marmottan Monet, Paris (c) Bridgeman-Giraudon

クロード・モネ 《睡蓮》 1903年 Musée Marmottan Monet, Paris (c) Bridgeman-Giraudon

クロード・モネ 《日本の橋》 1918-24年 Musée Marmottan Monet, Paris (c) Bridgeman-Giraudon

京都市美術館 神宮丸太町駅・地下鉄 東山駅 マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 「印象、日の出」から「睡蓮」まで 2016年3月1日(火)~5月8日(日)

印象派を代表する画家クロード・モネ。その没後90年の節目を踏まえ、フランスのマルモッタン・モネ美術館が所蔵するモネ・コレクションを中心とした特別展が京都市美術館で開催されます。

展示作品の多くは、モネが亡くなるまで手元に残していたプライベート・コレクション。モネが10代の頃に描いたカリカチュア(風刺画)に始まり、妻や子供たちを描いた作品、旅先で描いた風景画、そして晩年の代表作《睡蓮》《日本の橋》など、初期から晩年までの画業を追う名画約90点が紹介されます。
さらに今回は、“印象派”という呼称の由来となった作品《印象、日の出》と、パリの名所を描いた代表作のひとつ《テュイルリー公園》も、期間限定で特別展示されます。

今回の展示品には、モネ自身の絵画以外にも、彼が生前使用していた遺品や、盟友・ルノワールの作品をはじめ、モネが収集していた関係画家の作品も登場します。
生涯にわたり、絵を描き続けたモネの創作世界とその素顔にも迫ることができる貴重な機会です。

展覧会担当者からのひとこと

今回展示されるマルモッタン・モネ美術館のモネ・コレクションは、モネが最晩年まで手元に置いていたもので、息子・ミシェルが美術館に遺贈するまではその存在自体、知られていませんでした。そのため、他の美術館のコレクションに比べ、よりモネのプライベートや絵画表現の変遷を深く知ることができる内容となっています。

特に、後半生を送ったジヴェルニーの自邸で描かれた晩年の作品は、大きな見どころです。モネは、この時期、誰かに見せるためではなく、純粋に自身の表現を探求するための絵を描きました。なかでも最晩年の連作「しだれ柳」や「日本の橋」では、同じ構図・モチーフを連続して描くことで、時間や天候などによる光の変化をとらえようと試みています。そして筆遣いは次第に荒々しくなり、モチーフの形は抽象化されていきます。最後まで絵に情熱を傾けたモネの表現の変遷や試行錯誤の過程を感じることができる作品です。

このほかにも、プライベート・コレクションならではの作品が多数登場します。
例えば、人物画をほとんど描かなかったモネが描いた妻や子供たちの肖像は貴重な作品です。これらは完全にプライベートで描いたもので、子供たちの成長やモネ一家の暖かな日常を垣間見ることができます。その絵はどれも暖かな愛情に満ち、家族との深い絆を感じさせます。
また、彼が敬愛したドラクロワや師匠のような存在だったブーダンの水彩画、そしてルノワールやピサロといった友人たちの作品など、モネ自身が収集し自邸に飾っていた作品も登場します。

さらに今回は、非常に早い時期から印象派の作品を評価していたド・ベリオ医師のコレクションから、《印象・日の出》《テュイルリー公園》の2点を前後期で入替えて展示します。 前期に展示する《印象・日の出》は、モネが幼少期を過ごしたル・アーヴルの港を描いた作品で、印象派という呼称の由来にもなった記念碑的な作品です。近年、史料や古写真の調査でこの絵が描かれた正確な位置や日時が特定され、モネは当時港に置かれていた工事用のクレーンや背景の船や煙突もしっかりと描いていることがわかりました。“印象”と聞くといい加減に描いているように感じますが、モネは実際の風景を正確に捉えたうえで、そこにある空気感や光までもを描いているのです。
一方、後期に展示する《テュイルリー公園》もモネの代表作のひとつです。パリの中心部にある大きな公園を描いた作品で、モネは緑を非常に色鮮やかに、公園を歩く人々は黒い点のような影として描き、夏場の強い日差しを見事に表現しています。後半生のモネは、パリを離れて地方都市をめぐる生活をしているため、パリを描いた作品はあまり多くありません。そのうえでも貴重な作品です。

モネの作品のみを集めた展覧会は、実のところあまり多くは開催されていません。なかでも、今回の展示作品はモネ自身によるコレクションがほとんどということで、より彼の人間性や考えを反映したものとなっています。ぜひ、この機会に素顔のモネに会いに来てください。

また、同時期にモネの親友・ルノワールの展覧会も京都市美術館で開催しています。互いに影響し合っていたふたりですので、ぜひあわせてご覧いただければと思います。

(京都市美術館 主任学芸員 後藤結美子さん)

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【初公開】安政禁裡御所還幸図

【初公開】アダムス副使 肖像画

【初公開】東京三井組ハウス 東京名所海運橋五階造真図

【初公開】短刀 無銘 小柄 「三井家紋 四ッ目結」寄贈 土方家

商人長者番付(明治3年)刷物 大日本持丸長者鑑

※画像はすべて霊山歴史館蔵

幕末維新ミュージアム 霊山歴史館 祇園四条駅 2016年春の特別展 幕末新収蔵品展 近代日本の夜明け  2016年1月3日(日)~5月8日(日)

霊山歴史館では、幕末から明治にかけて日本の近代化を成し遂げた人々にスポットを当てた展覧会が開催中です。

展示品には、幕末から明治の大阪を舞台としたNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」にちなみ、主人公・あさとゆかりの豪商・三井本家の資料が登場。その他にも、「安政禁裏御所還幸図(あんせいきんりごしょかんこうず)」、「北御屋敷図並組与力同心(きたおやしきずならびにくみよりきどうしん)」、「ペリー来航のヘンリー・アダムス副使肖像画」、「漂流物の図」といった当時の情勢を今に伝える新発見の錦絵や、明治から昭和にかけて活躍し、経済面で大きな功績を果たした政治家・高橋是清(たかはし・これきよ)の関連資料も紹介されます。
もちろん、幕末・明治維新を語るに欠かせない新選組、坂本龍馬に関する資料も充実しています。

新しい時代にふさわしい日本を目指し、政治のほか産業・商業などの発展につくした人々の視点から幕末・明治という時代を見つめる展覧会です。

※展覧会は2期制です。会期中一部展示替が予定されています。

企画担当者からのひとこと

今回の展覧会は、2012年以来4年ぶりとなる新収蔵品展です。久々の開催ということで、その間に新たに歴史館に加わった資料のほか、これまで一度も公開の機会がなかった資料から注目していただきたいものを中心に展示品を選びました。

特に注目していただきたいものは、NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」の主人公・あさのモデルとなった広岡浅子ゆかりの三井本家の関連資料です。
三井家に関する資料からは、幕末・明治期における商家の様子や、商家の立場から見た明治維新の状況を知ることができます。
例えば、初展示となる三井本家から番頭格へ贈られた刀剣類は、豪商からの贈物にふさわしく目貫(めぬき)や小柄(こづか)などの拵(こしらえ)に職人の技が光る逸品で、三井家の繁栄ぶりを偲ばせます。
また、明治3年(1870)に発行された日本全国の有名な商人の名前が書き連ねられている「商人長者番付」には、勧請役として三井本家が上げられている他、最も上位の豪商が並ぶ一番上の段に、浅子の実家・出水三井家や彼女の嫁ぎ先である加島屋広岡家、浅子の姉が嫁いだ天王寺屋の名が確認できます。ドラマにも登場している五代友厚の名が掲載されている明治2年(1869)の新政府の役員名簿「官員録」なども展示いたしますので、ドラマをご覧になっている方にも、歴史とのつながりを感じて楽しんでいただければと思います。

この他にも、昨年NHKの特別ドラマで取り上げられた政治家・高橋是清に関する資料もコーナー展示でご紹介します。高橋是清は「経世済民の男」として知られますが、経世済民とは“経済”の語源となった言葉で、彼はその名のとおり近代日本の経済に多大な貢献を果たしました。彼をはじめ戦前に活躍した政治家は幕末に生まれ明治維新を生き抜いた人が多くいます。そんな人々の活躍にも目を向けていただければと思います。

この他にも、嘉永7年(1854)に火事で京都御所が焼失して以来2年間避難生活をしていた孝明天皇が、新築された現在の京都御所に戻る様子を描いた「安政禁裏御所還幸図」や、鬼のように恐ろしい顔で描かれてしまったペリー艦隊の副使ヘンリー・アダムスの肖像画など、全部で31点の初公開資料が登場します。

今までの展示ではあまりメインとして取り上げられる機会が少なかった資料や、目にされたことがない品々が多数登場しますので、初めての方はもちろん、何度も歴史館にお越しの方にも新鮮な気持ちで楽しんでいただける内容となっています。
この機会に、より多角的な視点で幕末・明治という時代について考えていただければと思っています。第1期・第2期で展示替えされる資料もありますので、ぜひ全期を通してご覧ください。

(霊山歴史館 学芸課長 木村武仁さん)

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冬瓜大香炉(とうがんだいこうろ) 村上盛之(むらかみもりゆき) 明治39年頃 清水三年坂美術館蔵

龍自在置物(りゅうじざいおきもの) 穐山竹林斎(あきやまちくりんさい) 大正~昭和初期 清水三年坂美術館蔵

大阪歴史博物館 天満橋駅・地下鉄 谷町四丁目駅 大阪歴史博物館開館15周年記念特別展 近代大阪職人図鑑―ものづくりのものがたり― 2016年4月29日(祝・金)~6月20日(月)

“超絶技巧”の代名詞で近年注目を集めている近代日本の工芸品。そのなかでも大阪を拠点に活動した職人たちによる作品を一挙に集めた展覧会が、大阪歴史博物館で開催されます。

展示品は約170件。通常は金属で作るところを木で制作したという珍しい龍自在置物や、大阪歴史博物館のある地域を拠点に活動した刀匠・初代月山貞一の刀、一見焼物のように見える木製の指物など、分野は金工、木工、漆芸、彫刻、染織と非常に多岐にわたります。なかには、人体骨格模型(木製)など普通の展覧会ではお目にかかれないような変り種も登場。今回が初公開となる作品も多数含まれます。

明治以降、日本の工芸は東京を中心に発展しました。そのためか、大阪に多くの優れた職人“アルチザン”たちがいたこと自体が、まだあまり知られていません。知られざる大阪の近代工芸の魅力に、この機会に触れてみてはいかがでしょうか。

企画担当者からのひとこと

今年は大阪歴史博物館が開館してから15年となります。その開館当時から、博物館では大阪の近代工芸に注目し、調査・収集を続けてきました。今回の展覧会はこれまでの活動の成果を一堂に集めてご紹介するものです。

「大阪に工芸はあったの?」と思われる方も多いかもしれませんが、実は大阪には明治大正時代、かなりの数の職人たちが活動していました。
当時、(中央集権体制下で)美術工芸界の拠点も東京へ移ったこともあり、職人は東京へ出ないと名が売れないとされていました。そのため技術研究や公募展の開催も東京が中心となり、大阪の職人たちの多くは名が知られることなく歴史のなかに埋もれてしまったのです。しかし、彼らが残した作品は決して東京のそれに劣ってはいません。今回の展覧会は、そんな地方に置き去られた優れた職人たちに日の目を当てる機会となればと思っています。

展示は3章構成で、根付や刀剣など超絶技巧の工芸を生んだ基礎の部分にはじまり、時代の変革期を生きた職人たち、そして企業に属するなど時代に合わせて変化していった職人たちのあり方について、大阪の近代工芸が辿った流れをご紹介します。

例えば、穐山竹林斎(あきやまちくりんさい)の「龍自在置物」。通常は金属で作るところを、この作品は木彫で制作されている大変珍しいものです。黒龍と白龍がそれぞれ大阪と京都で別に所蔵されているのですが、今回初めて白と黒がそろって展示となります。
幕末明治に活躍した懐玉斎(かいぎょくさい)の根付も見どころです。懐玉斎は日本最高の根付師として海外では非常に評価されている作家なのですが、日本ではほとんど知られていません。多くの作品が海外所蔵になっているため、日本で本物を見られる今回は貴重な機会です。

職人のマルチな能力を感じさせる作品もあります。
逸見東洋の「霊芝に竈馬図香合(れいしにかまどうまずこうごう)」は朱塗に虫やきのこなどを細かく彫った漆器です。逸見は元刀匠であり、その技術を生かして塗物師に転身したという異色の経歴を持っています。
また、三好木屑(みよしもくしょう)の「ハンネラ写し茶器」は一見すると陶器の茶入に見えるのですが、実は木製。“変わり塗り”という漆芸技法を使って木の器に焼き物の質感を表現しているという大変ユニークな作品です。

他にも、初代月山貞一の刀は明治天皇献上品をはじめとした5口をまとめて展示しますし、収蔵庫から改めて発見・初公開となる山本杏園の「木彫鶺鴒(せきれい)」など、どの作品も珍しいものばかりですので、ぜひご注目ください。

大阪の近代工芸は、どれもとても個性的です。同じ”木彫”というジャンルでもそれぞれに工夫を重ねるなど、一人ひとりが自分の個性を出して勝負しているような作品が多くあります。これは、現在の関西にもある「個を重んじる」考えの表れでしょう。その気風は、時代を経て職人たちが会社組織の下で働くなど環境が大きく変わっても失われることはありませんでした。そんな個性と自由を愛した大阪の職人たちの力を、作品から感じとっていただければと思います。

(大阪歴史博物館 主任学芸員 内藤直子さん)

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ピエール=オーギュスト・ルノワール 《昼食後》 1879年 油彩・カンヴァス、100.5×81.3cm シュテーデル美術館、フランクフルト Photo:(c)Städel Museum‐U.Edelmann‐ARTOTHEK

京都市美術館 神宮丸太町駅・地下鉄 東山駅 光紡ぐ肌のルノワール展 2016年3月19日(土)~6月5日(日)

フランス印象派を代表する画家ピエール・オーギュスト・ルノワール。その作品を集めた展覧会が、京都市美術館で開催されます。

展示作品は、ルノワールが特に好んで描いた女性や子供たちの肖像を中心に、デッサンや彫刻、版画などを含めた60点以上。世界各地の美術館や個人コレクションから集まった名品が並びます。
ルノワールが描いた女性たちは、パトロンや友人の夫人とその子供たち、女優、街で見かけた見知らぬ女性、そして妻まで、年齢も社会的地位もさまざま。ルノワールはそんな彼女たちの姿を、時にはモデルらしくポーズをとった姿で、時には日常生活の一場面として、生き生きと描き出しています。

「人生は長く終わりのない休暇である」とし、日常に潜む人生の美しさや幸せを表現し続けたルノワール。透き通るような肌や色鮮やかな頬と唇、そして明るい光の表現が織り成す彼の美の世界を堪能できる展覧会です。

展覧会担当者からのひとこと

今回の展覧会では、主にルノワールの後半生から晩年にかけての作品を多くご紹介します。この時期はルノワールが画家としての地位を確立したころで、彼は他人の評価を気にせず、より自分らしい表現や題材を追求した作品を描くようになっています。

この時期に描かれた作品の特徴としては、「日常」に目を向けた作品が多いことです。今回の展示品を見ても、妻や子供たち、親しい友人など自分の身近にいる人たちの日常風景を描いた作品が多数含まれています。なかでも2番目の妻であるガブリエルは《ストライプのスカートの座る少女》をはじめ、さまざまな作品に登場しています。彼女は晩年のルノワールにとって日常の象徴であり、理想の女性像といえる存在でもありました。
ルノワールの描く女性といえば、《昼食後》に描かれた女性のように華やかに着飾った社交的な姿が印象的ですが、ガブリエルは素朴で暖かな雰囲気の女性として描かれているところに、ルノワールの素顔を感じられるのではと思います。既存のイメージとはまた違った、ルノワールの見つめた素朴な日常風景を作品を通じて味わってください。

もうひとつ、注目していただきたい作品が裸婦画です。日本では今までルノワールの裸婦画が紹介される機会がほとんどありませんでしたので、ルノワールに裸婦画のイメージはあまりないかもしれません。彼の描く裸婦は決して美女とは限りませんし、むしろ豊満な女性が多いことが特徴です。背景もざっくりとしていて、かなり省略されています。これらは仕事としてではなくルノワールがプライベートで自由に描いたもので、その分彼の美意識が強く表れています。近年注目が高まっている分野でもありますので、この機会にぜひご覧いただければと思います。

また、今回は「子供と少女」「身近な女性」「同時代の女性」、そして「浴女と裸婦」といったかたちで、展示作品をモチーフ別・時代別に分け、スケッチやデッサンなどの関連作品を加えた構成でご紹介します。似たモチーフであっても描かれた時期や対象によって描き方が変化していることを、見比べながら楽しんでいただけます。
展示作品は、世界中のさまざまな美術館や個人コレクションから集められており、ほとんどの作品は日本初公開となります。所蔵元が散らばっているため、このラインナップを他で見られることはないと思います。この機会に、今までのイメージとは異なるルノワールの側面に触れていただければ幸いです。

(京都市美術館 学芸課長 尾﨑眞人さん)

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大阪市立東洋陶磁美術館 なにわ橋駅・北浜駅・淀屋橋駅

特別展 没後100年 宮川香山 2016年4月29日(祝・金)~7月31日(日)

幕末から明治にかけての激動の時代、国内外で活躍した陶芸家・初代宮川香山。その没後100年を記念した展覧会が大阪市立東洋陶磁美術館で開催されます。

19世紀後半以降、西洋では日本の美術品がジャポニスムとして芸術活動に影響を与えるほどの大流行となっていました。日本でも西洋技術を取り入れた新たな工芸品が生み出され、主要な輸出品として数多くの品が外国へと送られました。
そんな時代にまれた宮川香山は、外国で通用する日本ならではの陶磁器を作るべく、明治3年に京都から横浜へ移住。京焼の伝統を踏まえつつ緻密な装飾を施した「眞葛(まくず)焼」を制作し、欧米の万国博覧会へ次々に発表します。彼の作品は大絶賛され、数多くの受賞を果たし、“マクズ・ウェア”として一躍有名となりました。

今回の展覧会では、眞葛焼研究者のコレクションを中心に約150件展示されます。
香山の眞葛焼の特徴は、京焼で培った緻密で華麗な上絵金彩と、大胆な立体装飾「高浮彫(たかうきぼり)」です。器の外側に今にも動き出しそうな大きな蟹が彫られた「褐釉高浮彫 蟹 花瓶(かつゆうたかうきぼり かに かびん)」や、今にも動き出しそうな猫の姿を蓋にあしらった「高浮彫 牡丹ニ眠猫覚醒蓋付 水指(たかうきぼり ぼたんにねむりねこかくせいふたつき みずさし)」は、その代表作です。
一方で香山は釉薬や中国の古陶磁なども熱心に研究していました。その成果を生かし、後半生においては「黄釉銹絵 梅樹図 花瓶(おうゆうさびえ ばいじゅず かびん)」など、繊細かつ優美な作品を多く生み出しました。彼の多岐に渡る作風は、ロイヤル・コペンハーゲンなどヨーロッパの名門窯元にも影響を与えたといいます。

変わりゆく時代のなかで、日本の近代陶芸の最先端に立ち続けた宮川香山。その華やかな世界を堪能できる展覧会です。

重要文化財 黄釉銹絵 梅樹図 花瓶 (おうゆうさびえ ばいじゅず かびん) 1893(明治26)年 高52.1㎝、口径14.5㎝、胴径25.8㎝ 東京国立博物館蔵 TNM Image Archives
重要文化財 褐釉高浮彫 蟹 花瓶 (かつゆうたかうきぼり かに かびん) 1881(明治14)年 高36.5㎝、口径39.8×19.5㎝、底径16.5×16.3㎝ 東京国立博物館蔵 TNM Image Archives
高浮彫 牡丹ニ眠猫覚醒蓋付 水指 (たかうきぼり ぼたんにねむりねこかくせいふたつき みずさし)  明治時代前期・19世紀後期 高29.7㎝、口径16.3㎝、底径14.6㎝ 田邊哲人コレクション(神奈川県立歴史博物館寄託)

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京都国立博物館 七条駅

臨済禅師1150年 白隠禅師250年遠諱記念 禅―心をかたちに― 2016年4月12日(火)~5月22日(日)

およそ1500年前に菩提達磨(ぼだいだるま)によってインドから中国へもたらされたといわれる「禅」。その後、中国の高僧・臨済義玄(りんざいぎげん)によってその教えは広がりました。日本へは鎌倉時代に伝えられ、武家や公家、民衆にまで浸透し、社会と文化に大きな影響を与えました。そんな禅宗に関する文化財を一挙に公開する大規模な展覧会が、京都国立博物館で開催されます。

展示品は、臨済義玄を源流とする臨済宗・黄檗宗に属する全国各地の寺院から集まったもので、高僧たちの肖像や墨蹟(ぼくせき)、仏像、書画、工芸品など国宝・重文を含め、その数は200点以上。
“ぬるぬる滑るナマズをつるつるの瓢箪で捕まえてみよ”という禅問答をテーマにした国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」や、力強くもユーモラスな画風で今も多くのファンを持つ白隠慧鶴(はくいんえかく)による「達磨像」、そして室町時代を代表する画僧・雪舟の傑作として名高い国宝「慧可断臂図(えかだんぴず)」など、教科書にも登場する名品も数多く展示されます。
また、伊藤若冲が手がけた鹿苑寺(金閣寺)大書院障壁画をはじめとした京都限定公開の展示品も登場します。

展覧会のほかにも、会期中には禅宗寺院の僧侶による坐禅会や講話、茶会、狂言などの禅の教えや関係の深い文化を体験できるイベントも開催されます。

日本の歴史・文化に深く関わりを持つだけでなく、現在では海外でも「ZEN」としてその思想が多くの人に受け入れられている禅の世界。その真髄に触れられる貴重な機会です。

国宝 慧可断臂図 雪舟等楊筆 室町時代 明応5年(1496) 愛知・齊年寺 5/3~5/22展示
達磨像 白隠慧鶴筆 江戸時代(18世紀) 大分・萬壽寺 4/12~5/1展示
十八羅漢坐像のうち「羅怙羅尊者」 范道生作 江戸時代 寛文4年(1664) 京都・萬福寺 通期展示
国宝 瓢鮎図 大岳周崇等三十一僧賛 大巧如拙筆 室町時代(15世紀) 京都・退蔵院 4/12~5/1展示
国宝 玳玻天目 吉州窯 中国・南宋時代(12-13世紀) 京都・相国寺 4/12~5/1展示

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国立国際美術館 渡辺橋駅・中之島駅

森村泰昌:自画像の美術史-「私」と「わたし」が出会うとき 2016年4月5日(火)~6月19日(日)

日本の現代美術を代表する美術家・森村泰昌による大規模な個展が、大阪の国立国際美術館にて開催されます。

森村は、1985年に発表した「肖像(ゴッホ)」以来、名画の登場人物や映画女優、歴史上の有名人などに自らが扮するセルフ・ポートレイト作品を約30年にわたり一貫して手がけ、国内外で高く評価されています。なかでも森村のライフワークとなっている取り組みが、美術史上の有名作家の自画像になりきる“自画像の美術史”です。
その集大成ともいえる今回の展覧会では、代表作はもちろん、新作・未発表作に参考出品を加えた総数134点もの作品が並びます。

過去のシリーズからは、初期の「肖像(ゴッホ)」をはじめ、17世紀オランダ絵画の巨匠レンブラントや、20世紀メキシコの女性作家であるフリーダ・カーロの自画像をテーマとした作品を展示。 あわせて、レオナルド・ダ・ヴィンチ、カラヴァッジョ、マグリット、ダリといった西洋美術を代表する芸術家や、松本俊介、青木繁など日本人画家の自画像に扮した新作が登場します。特に、初期に取り組んだゴッホについては、30年ぶりとなる新作が展示されます。
また、今回の展覧会のために新たに製作された全編60分を超える長編映像作品『「私」と「わたし」が出会うとき ―自画像のコンポシオン―」』も同時に展示されます。森村が扮するさまざまな画家たち、そして森村自身が登場し、独白のかたちで「『私』とは何か」を問いかけます。

自画像になりきるという行為を通して自画像を描いた作家の人間性(「私」)を浮き彫りにするとともに、自画像とは何か、そして自分自身を問い続ける森村。その魅力をじっくりと味わえる展覧会です。
会期中には、森村自身が作品や取り組みについて語るレクチャーイベントも行われます。

森村泰昌《自画像の美術史(ゴッホ/青)》2016 年 作家蔵
森村泰昌《自画像の美術史(マグリット/三重人格)》2016 年 作家蔵
森村泰昌《傷ましき腕を持つ自画像(ブルー)》2011-2016 年 作家蔵
森村泰昌《自画像のシンポシオン》2016 年 作家蔵

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展覧会スケジュール2016年5月~7月

 下記の展覧会名をクリックすると展覧会の詳細情報へ移動します。

  • 光紡ぐ肌のルノワール展 ●2016年3月19日(土)~6月5日(日) ● 京都市美術館
  • 京都市美術館 神宮丸太町駅・地下鉄 東山駅 マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 「印象、日の出」から「睡蓮」まで ●2016年3月1日(火)~5月8日(日) ● 京都市美術館
  • 臨済禅師1150年 白隠禅師250年遠諱記念 禅―心をかたちに― ● 2016年4月12日(火)~5月22日(日)  ● 京都国立博物館
  • 2016年春の特別展 幕末新収蔵品展 近代日本の夜明け ● 2016年1月3日(日)~5月8日(日) ● 幕末維新ミュージアム 霊山歴史館
  • 特別展 没後100年 宮川香山 ●2016年4月29日(祝・金)~7月31日(日) ●大阪市立東洋陶磁美術館
  • 大阪歴史博物館開館15周年記念特別展 近代大阪職人図鑑―ものづくりのものがたり― ● 2016年4月29日(祝・金)~6月20日(月) ● 大阪歴史博物館
  • 森村泰昌:自画像の美術史-「私」と「わたし」が出会うとき ● 2016年4月5日(火)~6月19日(日) ● 国立国際美術館

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