

大阪、京都、滋賀、兵庫、和歌山の関西を代表する国公立美術館6館(国立国際美術館・大阪市立近代美術館建設準備室・京都国立近代美術館・滋賀県立近代美術館・兵庫県立美術館・和歌山県立近代美術館)の所蔵作品から、近現代の欧米美術を一堂に集めた大規模コレクション展です。
展示作品は各美術館のコレクションから選りすぐった代表作といえる名品ばかり。ロダンやセザンヌ、ピカソ、マティスといった巨匠から、ロスコやウォーホル、バスキアなどのアメリカ美術、そして現在第一線で活躍中の作家まで、20世紀以降に活躍した58名約80点の作品が展示されます。普段はそれぞれの美術館に足を運ばなければ見ることのできない珠玉の作品を、一度に鑑賞できる大変貴重な機会です。
作品のなかには所蔵館以外では初めて公開されるものや、現在は常設展示がされていないコレクションも含まれています。また、別々の美術館で所蔵されている同じ作家の作品をまとめて楽しめる、合同企画展ならではの趣向も用意されています。関西の美術コレクションが持つ魅力と質の高さを存分に楽しめる展覧会です。

国立国際美術館では、これまでも「中之島コレクションズ」「大阪コレクションズ」といった近隣の美術館との連携企画展を行ってきました。今回の「美の響演 関西コレクションズ」は、関西一円へと連携エリアを大きく拡大した、今までにない規模での連携企画展となります。
各美術館のコレクションには、それぞれの個性が反映されています。例えば、兵庫県立美術館はロダンなど海外の近代彫刻に力を入れていますし、滋賀県立近代美術館は戦後アメリカを中心とした現代美術が充実しています。今回出展されている作品からも、各館の特色や個性を感じ取っていただけると思います。
また、この展覧会は複数の美術館の所蔵品を集めることで、各館ごとの展示だけでは不足している部分を補い、近現代美術を概観することを大きなコンセプトとしています。そこで、展示は近現代美術の流れに沿い、さまざまな美術館のコレクションを取り混ぜた構成としています。
何人かの作家については別々の美術館が所蔵している作品を作家ごとのコーナーにまとめて展示します。アメリカの作家で箱の中にオブジェを詰め込んだ作品が特徴のコーネルは、国立国際美術館と大阪市立近代美術館建設準備室、滋賀県立近代美術館の3館から作品が集まります。同じくアメリカの作家で画面を数色で大胆に塗り分けた抽象作品で知られるロスコは、4館から出展されます。このように複数の美術館が同じ作家に注目して収集を行っていたことは全くの偶然ですが、普段別々の方針で活動している美術館に共通したものがあるのは大変興味深いところです。美術館が作家や作品を通じてつながる、複数館合同のコレクション展ならではの魅力を感じていただけると思います。
地方の美術館は遠方の場合なかなか足を運びにくいですし、特に近現代美術については興味がなければ地元の方でも訪れる機会が少なく、どんな作品があるのかすら知られていない部分も多いことが実情です。今回は国立国際美術館という大阪の中心部にある会場に作品が集まりますので、この機会により多くの方に作品をご覧いただき、関西の美術コレクションが持つ魅力を知っていただければ嬉しいです。きっと「こんなお宝が関西にあったのか!」と驚くような出会いもあることでしょう。
(国立国際美術館 主任研究員 安來正博さん)



南アメリカ・アンデス文明史上最大にして最後の国家・インカ帝国。15世紀前半に誕生してから16世紀前半にスペイン人の征服者によって滅亡するまで、約100年間に渡り栄華を誇りました。しかし、インカの人々は文字を持たなかったため記録がほとんどなく、彼らの歴史や文化は多くが謎に包まれていました。この展覧会では、謎多きインカの全貌にこれまでの研究成果と多彩な考古資料から迫ります。展示品の総数は約160点にも及び、ほとんどが日本初公開となります。
今回は世界初・広範囲三次元計測による3D映像で完全再現された3Dスカイビューシアター「空中都市マチュピチュ」を上映。最先端のバーチャル技術で、空から見た世界遺産の旅を楽しむことができます。
さらに展示資料は、考古学や人類学、歴史学など、各分野の第一線で活躍する研究者が自ら選んだ貴重な遺物ばかりです。考古学の分野からは文字代わりに用いられた紐の結び目で作る記号「キープ」をはじめ、美しい衣装を身に着けた「小型女性人物像」、食器や道具類などインカの人々の生活を伝える品々が登場します。人類学の分野からは「まなざしのあるミイラ」など、インカ帝国の象徴的存在であるミイラやその関連資料が展示されます。そして、歴史学の分野からはインカ帝国を滅ぼしたスペイン人たちが残した記録や、インカ王族の末裔(まつえい)の姿を描いた絵画「ドン・アロンソ・チワン・インガの肖像」など、インカ帝国の最後や植民地化後のインカの人々の姿を伝える資料が並びます。
また、今回の展示にあわせて行われた最新の研究成果も紹介され、インカ帝国の秘密にさまざまな研究者の視点を追いながら触れることができます。植民地時代のインカについては、今まで一般に紹介される機会がなかった珍しい内容で、多彩な学問の視点からインカの実像に触れられる、今までにない「インカ帝国展」です。

京都市美術館では、戦前は「市展」、戦後は「京展」の愛称で、開館当時から現在まで、毎年大規模な総合公募展が開催されています。この展覧会では京都市美術館の開館80周年を記念して、館蔵品の昭和初期から現代に至る市展・京展参加作家の作品から約120点を展示し、作品を通して80年の歩みを振り返ります。
市展・京展には京都はもちろん関西各地から多くの若手・新進作家が参加し、この公募展をきっかけに一流作家として巣立ちました。今回の展示作品には、美人画の名手・上村松園(うえむら・しょうえん)の「晴日(せいじつ)」をはじめ、松園の教えを受けた画家・北沢映月の「娘」や丹羽阿樹子「遠矢」のほか、染色の大家・皆川泰蔵など絵画から工芸までの各分野から日本を代表する作家が多数登場します。彼らもみな、市展・京展で高く評価され、羽ばたいていった作家たちです。名だたる作家たちの飛躍のきっかけとなった作品を一堂に見ることができるという、長い歴史を持つ公募展ならではの内容です。
また、自身が京展出展者でもあり、現代を代表する日本画家のひとり・上村淳之(あつし)による自作の寄贈を受け実現した、上村松園・松篁(しょうこう)・淳之の親子3代の作品を集めたコーナーも特別に設置されます。親から子へ、子から孫へと受け継がれた美の系譜も楽しむことができます。

京都を中心に制作活動をしている画家、MAYA MAXX(マヤマックス)によるシリーズ展です。2008年から10年計画で毎年開催され、今回が6回目となります。
27歳から独学で絵を描き始めたMAYA MAXXは、絵本や本の装丁画、CDジャケット、キャラクターデザインのほか、テレビ出演やイベント企画など幅広いジャンルで活動しています。ダイナミックな筆使いと対照的な細い線、鮮やかなコントラストの色彩が特徴の作品は、彼女の飾らない人柄と相まって、若い世代を中心に多くの支持を受けています。
今年の展覧会では、古代文明や旧約聖書などをモチーフに描いた100号(長辺162cm)の大作や、一つの言葉から豊かなイマジネーションを得て描き出した作品など、60点の新作が登場。
また、会期中には日本全国で行なっている観客との対話型ライブペインティングやサイン会を開催。MAYA MAXXが直接観客とコミュニケーションを取りながら、その場で作品を仕上げるイベントです。彼女の作品に対する考えや世界観、創作の現場をその場で感じ、見ることができる展覧会です。

泉屋博古館のコレクションを築いた住友家は、芸術や文化事業に高い関心を抱き、文化施設建設の支援のほか、多数の美術品収集もされています。この展覧会では、住友グループ全面協力のもと、各社が所蔵している日本近代絵画作品から花などの静物を描いた作品を選び、一堂に公開されます。
コレクションの大半を成している洋画は、明治・大正の日本洋画界の先駆者・黒田清輝の「芙蓉(ふよう)」のほか、フランスで学んだ最先端の表現手法に日本画の装飾を加えた作品を描いた児島善三郎の「百合そのほか」、フランスのサロンでも活躍し独特の点描技法を生み出した岡鹿之助の「捧げもの」など、明治から昭和・戦後までの日本洋画壇を代表する作家の作品が揃っています。
日本画も充実しており、歴史画の大家として知られる前田青邨(せいそん)の「梅」や安田靫彦の「鬱金香(うっこんこう)」、戦後日本画壇をリードした杉山寧(やすし)の「松」といった、近現代の巨匠による作品がラインナップされています。 決して大作ではないものの、画家が得意とした題材を自由に描いており、それぞれの個性が凝縮されています。
今回の展示作品は、普段会社の応接室や事業所などの壁面を飾ってきたものです。これまで一般の目に触れることの無かった知られざる名品の数々が勢揃いする、注目の展覧会です。

明治・大正時代に毛織物貿易で巨万の富を築き、「羅紗王(らしゃおう)」と呼ばれた大阪の実業家・芝川照吉(1871-1923)。美術に高い関心を持っていた芝川は、作品の収集だけでなく、才能を認めた若い画家たちに留学や展覧会などの資金援助を行い、彼らを支えました。この展覧会では、彼が残した日本の近代美術コレクションから、2012年に京都国立近代美術館が収蔵した約180点の作品が一挙に公開されます。
展示作品には、青木繁の「女の顔」をはじめ、岸田劉生(りゅうせい)が描いた「芝川照吉像」、坂本繁二郎、石井柏亭など、明治・大正期の日本近代美術を代表する洋画家たちの作品が数多く含まれています。その大半は、芝川に高く評価され、援助を受けていた画家たちです。
一方で、芝川は工芸の収集・支援も積極的に行っていました。今回は特に芝川と深い交流を持っていた工芸・図案家の藤井達吉による「朱地金彩草木文角切盆(しゅじきんさいそうもくもんかくぎりぼん)」や、陶芸家の富本憲吉や河井卯之助、バーナード・リーチらの代表作が併せて展示されます。
また、これらに加えて岸田劉生の「道路と土手と塀(切通之写生)」(重要文化財/東京国立近代美術館蔵)など、芝川の没後に散逸したかつてのコレクション作品も出展されます。日本近代美術史上「幻のコレクション」として高く評価されてきた芝川コレクションの姿が、展覧会を通して蘇ります。

霊山歴史館では、2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の放映にあわせ、「会津の武士道」をテーマにした通年特別展が開催されます。第2期にあたる今回は、幕末の京都で治安維持につとめた会津藩と、今年で結成150年の節目を迎える新選組にスポットが当てられます。
文久2年(1862)、会津藩主・松平容保(かたもり)は、幕府から京都の治安維持を行う「京都守護職」に任ぜられ、1,000人の会津藩士を引き連れ京都へ赴きます。その中には新島八重の兄・山本覚馬の姿もありました。翌年には新選組が会津藩のお預かりとなり、会津藩の後ろ盾のもと、禁門(蛤御門)の変や池田屋事件などで活躍しました。
今回の展覧会では、後の会津藩と新政府軍との戦いで会津へ同行した新選組の五番隊組頭・尾形俊太郎の詩書2点が初公開されます。また、先祖代々藩の砲術指南役を務め、八重に鉄砲を教えた山本覚馬にちなみ、幕末に用いられた火縄銃2梃も登場。第1期に引き続き新島八重の関連資料も併せて展示されます。
幕末の京都で活躍し、後に八重が京都に移り住むきっかけとなった会津や新選組の人々の軌跡を、多彩な展示品を通してたどる展覧会です。

優れた機能性と洗練されたデザインから日本でも高い人気を誇る北欧・フィンランドの生活用品。この展覧会ではガラスや陶磁器を中心に、約150件の作品からフィンランド・デザインの魅力を紹介します。
展覧会では、18世紀後半の黎明期から現代の最新作までの作品を各時代ごとに展示します。どれも、フィンランドを代表するデザイナーによる名品ばかりです。
例えば、「キルタ(後にテーマ)」はアラビア社でアート・ディレクターを務めていたカイ・フランクが1947年に発表した代表作です。カラフルな色やシンプルで機能的なフォルムは、それまで装飾過多な傾向のあったディナーセットのイメージをくつがえし、「キッチンの革命」と称された、世界のデザイン史にも残る作品です。
他にも、1930年代にガラスを中心に活躍し、フィンランド・デザインの世界的評価を高めたアルヴァル&アイノ・アールト夫妻や、フィンランドの植物をモチーフに機能性と独創性を両立させたタピオ・ヴィルッカラなど、世界的デザイナーによる名作が登場します。
フィンランド・デザインには「timeless design product(時代を超えた製品)」という共通のコンセプトがあります。展示作品の中にも、発表から数十年以上を経た現在も人気が高く、生産・販売が続けられている作品も数多く含まれています。
使い捨て主義ではなく、時代を超えて生き続ける美しさを追求するフィンランド・デザインの世界観を、実際の作品を通じて深く味わえる展覧会です。