京阪沿線でお気に入りのアートを見つけよう!
アートと巡る建物探訪
Vol.7
京都国際
マンガミュージアム
国内外からファンが訪れ、「マンガの聖地」とも言われる京都国際マンガミュージアム。約30万点という膨大な量のマンガや資料を所蔵する建物は、モダンな建築様式の元龍池小学校の校舎を再利用しています。
アール・デコなど様々な様式が取り入れられた
歴史ある小学校がマンガ文化の拠点に
明治維新直後、京都では地元有志の寄付などで小学校が設立されました。そのひとつ、龍池小学校は1869(明治2)年に開校。その後、1995(平成7)年に校区が統廃合されたことにより、約126年の歴史に終止符を打ちました。以降、昭和初期に建てられた3棟の旧校舎の再利用が検討され、2006(平成18)年にマンガ資料の収集・保管・公開とマンガ文化を調査研究するミュージアムへと生まれ変わりました。
貴賓室や職員室などがあった本館の階段室にはロマネスク様式のアーチが見られる一方で、教室のあった北館はアール・デコの影響を受けたタイル装飾などが見られます。改修にあたって設計を行った類設計室の担当者は「学校建築としての魅力をできる限りそのまま伝えるため、校舎の形状を可能な限り変えない補強工事をしました」と話します。壁や窓の耐震化に伴い、旧校舎の壁際に総延長約200mの書架「マンガの壁」が誕生。特に旧講堂は床から天井まで書棚が貫き、圧倒的な存在感を放っています。来館者は約5万冊のマンガで埋め尽くされた広い館内を歩き回り、好きな場所で作品を読むことができます。
また、設立当初は貴賓室だった2階の一室は、ミュージアムの館長室に。「京都に来たときは館長室で仕事や打ち合わせをしています。とても居心地が良く、高級感があるので、お客さまをお迎えするに申し分ありません」と館長の荒俣宏さんもお気に入りです。
両替町通側の旧正面玄関は、フランク・ロイド・ライト風の幾何学模様などの中に和の建築様式が見られ、地域のシンボルとして建設されたことがうかがえます。タイルや手すりなども当時のまま、歩くと音が鳴る床板の廊下も学び舎の面影を今に伝えています。
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シンボル的存在でもある手塚治虫の「火の鳥」オブジェは京都の仏像彫刻師・須藤光昭さん作。瞳には水晶の板をはめ込んでいます。
私がプロデュースする館長室のミニギャラリー「大マンガラクタ館」は、収蔵庫で見つけた“お宝マンガ”を紹介しています。
京都国際マンガミュージアム 館長
荒俣 宏(あらまた ひろし) さん
作家。小説『帝都物語』で日本SF大賞受賞、『世界大博物図鑑』でサントリー学芸賞受賞。多分野にわたり精力的に執筆活動を続け、漫画家を取材した『日本まんが1巻~3巻』(東海大学出版)など著書・訳書は約350冊。
デビュー50周年記念 村上もとか展
「JIN-仁-」、「龍-RON-」、
僕は時代と人を描いてきた。
10月3日(火)まで
アフリカマンガ展
10月26日(木)~2024年2月18日(日)
京都国際マンガミュージアム
- 10時30分~17時(入館)
水曜(祝日は翌日)、10/8(日)・9(月)、11/16(木)休館 - 大人900円・中高生400円・小学生200円
- 075-254-7414
- 京都市中京区金吹町452
- 三条駅下車 北西へ徒歩約20分/地下鉄烏丸御池駅下車 北へすぐ
京都国際マンガミュージアム周辺のアートの余韻を楽しむスポット
Flim Kyotoフリム キョウト
彫刻家の椎名ネルさんが運営するアトリエとカフェを併設したギャラリー。白と黒を基調にした室内には、彫刻やドローイングなど椎名さんの作品を展示。コーヒーや手作りのスイーツとともにアート鑑賞を楽しめます。
- 13時~17時30分(L.O.)
※日曜は12時~18時30分(L.O.)、
金・土曜は19時~22時30分(L.O.)も営業 - 080-3854-4170
- 京都市中京区山本町418-1
- 三条駅下車 北西へ徒歩約10分/地下鉄京都市役所前駅下車 北西へ徒歩約5分
洋食 ヒグチ亭ようしょく ひぐちてい
ガラス窓から光が差しこみ、明るい雰囲気の洋食店。8種類のメインから1品選べるランチコースは、ひと皿目の前菜盛り合わせからボリュームたっぷり。毎朝、シェフが焼くパンも料理との相性が抜群と好評です。
- 11時30分~14時(L.O.)17時30分~21時(L.O.)
火曜休業 - 075-744-6877
- 京都市中京区瓦之町373
- 三条駅下車 北西へ徒歩約20分/地下鉄烏丸御池駅下車 北東へ徒歩約5分