沿線おでかけ情報
『源氏物語』の作者で、今注目を集めている紫式部。京阪沿線には紫式部ゆかりの地がたくさんあります。このコーナーでは、一年にわたってそれらのスポットを取り上げて解説します。
平等院
平安時代の人々のあこがれの地
宇治駅
宇治川の西岸に立つ平等院は、一〇五二(永承七)年に藤原道長の子・頼通が、道長の別荘を寺院に改めたもの。道長と言えば、紫式部が仕えた中宮彰子の父であり、時の最高権力者。そんな道長の別荘は、元は『源氏物語』の主人公・光源氏のモデルのひとりとされる源融(みなもとのとおる)の別荘で、その後、宇多天皇らが所有したとも言われています。本尊をまつる鳳凰堂(正式には阿弥陀堂)には、平安時代の貴族の邸宅によく使われた寝殿造の影響が見られます。
『源氏物語』の四十六帖「椎本」には、奈良での長谷詣の帰り道、光源氏の孫・匂宮が宇治にある光源氏の子・夕霧の別荘に立ち寄って管絃の遊びを催すシーンがあります。この別荘は光源氏から夕霧が譲り受けたもので、四十七帖「総角」でも紅葉狩りの舞台になっています。
平安時代初期から貴族たちの別荘地として人気があった風光明媚な宇治の地。紫式部の生きた平安時代、宇治には平等院のような優美な建物が豊かな自然に包まれるように立ち並んでいたのかもしれません。
平等院
宇治市源氏物語ミュージアム
国内唯一!『源氏物語』専門の体験型博物館
宇治駅
『源氏物語』の最後の十帖「宇治十帖」の主な舞台となった宇治にあるのが「宇治市源氏物語ミュージアム」。国内でもめずらしい『源氏物語』と平安時代の文化をテーマにした博物館で、展示物を見るだけでなく、実際に様々な体験ができるコーナーや映像展示室などもあり、楽しみながら、その魅力に触れることができます。さらに、映像展示室で上映されているオリジナルアニメをよく見ていると原作を思わせるシーンも。初めて『源氏物語』に触れる人はもちろん、長年のファンも楽しめる博物館です。
宇治市源氏物語ミュージアム
感じる 六条院(模型)
体験する 垣間見(かいまみ)
浸る 「宇治十帖」物語シアター
光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館
大河ドラマの世界を体感しよう
石山寺駅
紫式部が『源氏物語』の着想を得たと言われる滋賀県大津市の石山寺。その境内にある明王院に「大河ドラマ館」がオープンします。「光る君へ」のキャスト・スタッフのインタビューなどここでしか見られないオリジナル映像が上映される4Kシアターのほか、撮影の舞台裏に迫った特集パネル、撮影で実際に主人公まひろ(紫式部)が身に付けた衣装や小道具などが展示されます。
同時開催
源氏物語 恋するもののあはれ展
境内の世尊院では、「恋」をテーマに平安時代の文化を楽しく体験できる企画展を開催。人気イラストレーターによる源氏物語の和歌を題材にした描き下ろしイラストや、オリジナル楽曲によるミュージックビデオが登場。さらに色・花・香りを通して平安時代の文化を体感することもできます。
光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館
同時開催
源氏物語 恋するもののあはれ展
境内の世尊院では、「恋」をテーマに平安時代の文化を楽しく体験できる企画展を開催。人気イラストレーターによる源氏物語の和歌を題材にした描き下ろしイラストや、オリジナル楽曲によるミュージックビデオが登場。さらに色・花・香りを通して平安時代の文化を体感することもできます。
石山寺
月光に導かれて生まれた
『源氏物語』
石山寺駅
今回ご紹介するのは、滋賀県大津市にある石山寺です。石山寺には紫式部がこの地で『源氏物語』の着想を得たという伝説があります。
宮仕えをしていた紫式部が、中宮に新しい物語をせがまれこの地に籠っていた時に、びわ湖の湖面に映る月を見てふと “光る君〟 の姿が思い浮かんだそう。その時に書いたのが『源氏物語』の十二帖『須磨』にある「今宵は十五夜なりけり」と始まる一節だと言われています。
平安時代、貴族の間で都から離れた社寺を参詣する物詣(ものもうで)が流行しました。宮中の女性たちに特に人気だったのが石山詣。石山寺の本尊・如意輪観世音菩薩〈秘仏〉が、京都の清水寺、奈良の長谷寺とともに三観音に数えられるほど信仰を集めていたこと、また、京の都からのアクセスが良く、雄大なびわ湖の風景を楽しめることもその理由だったようです。
平安時代の女性たちが癒やしを求め、紫式部が心を研ぎ澄ませるために向かった石山寺を訪れてみませんか。
石山寺
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