沿線おでかけ情報

もっと水の路を楽しむなら

  • 教えてコンシェルジュ!宇治市源氏物語ミュージアム 編
  • スケラッコのよりみちさんぽ 〜比叡ゆば本舗 ゆば八〜
  • 宇都宮まきの京阪電車でぶらり行く! 鉄道小道さんぽ 『わたしのお気に入りの喫茶店』
  • 琵琶湖疏水

教えてコンシェルジュ!宇治市源氏物語ミュージアム 編

宇治市源氏物語ミュージアム 編

宇治市源氏物語ミュージアム
学芸員

家塚智子さんに聞いた

源氏物語と宇治川にまつわる知られざる水の話

紫式部の長編作「源氏物語」。平安時代の貴族社会を描いた有名な書物ですが、そのクライマックスでは、宇治川はなくてはならない要素のひとつだった!?そこで、宇治市源氏物語ミュージアムの学芸員・家塚さんに「源氏物語」と宇治川の関係について、詳しく聞いてみました。

室町時代の文化、歴史の研究が専門。源氏物語はその後の時代に大きく影響を与えていることもあり、自身の研究の基礎のひとつとして日々勉強。

宇治十帖をテーマにした「宇治の間」。名場面を再現したり、宇治十帖を立体画像で表現も

宇治川がなければ宇治十帖は成立しない!?

54帖からなる源氏物語。その最後の10帖は“宇治十帖”と呼ばれ光源氏の次の世代の物語となっています。その名の通り舞台は宇治、そして、宇治川は物語の中でも大きな役割を担っています。
「まず宇治川は、京の男性の世界、そして、宇治の女性の世界とふたつの世界を隔てる(象徴としての)役割を果たしています。その川を舟で渡ったり、歌を詠んで贈り合ったりして、心を通わせます。その中に、川に架かる“橋”を詠んだ歌がいくつかあります。古くからある橋の存在に注目した男性は、長い歴史になぞらえて、自分たちの仲は永遠だと詠みます。一方、宇治川の流れは速く橋がよく流されていました。そこで女性は不安定な関係を詠みました。その隔たりゆえのエピソードがいくつも登場するのです」
こうした川のエピソードの積み重ねによって宇治十帖の物語はクライマックスへと向かっていくのです。

香りも源氏物語の中では非常に重要な要素。源氏香と呼ぶ組香の一種も体感できる

源氏物語の情景が今でも残る宇治の自然

「宇治駅で降りて宇治橋の辺りを歩くとわかりやすいのですが、周辺はいい意味で高いビルも少なく、古き良き風情を残した街並みとなっています。そして、宇治橋から川を望むとその流れの速さに驚きます。その様子と宇治十帖の登場人物、浮舟の入水のエピソードを重ね合わせると、躊躇する気持ちが非常によくわかると思います。また、山に目を向けると時代こそ違いますが、自然が残る情景に源氏物語の世界が容易に想像できるのではないでしょうか」
と家塚さん。様々な想いを馳せつつ、源氏物語の世界を追体験できるのが宇治の魅力。宇治市源氏物語ミュージアムを訪れたのち、改めてその姿を眺めると街並みがまた違った様子に捉えられるかもしれません。

復元模型や映像の他に、調度品や装束も展示。平安貴族の華やかさを垣間見ることができる

宇治市源氏物語ミュージアム

  • 宇治駅下車 東へ徒歩約8分

ページの先頭へ