#1 あそべる?現代建築
タイムズビル [ メキシカンダイニングアボカド京都店 ]
三条駅のほど近く、川辺のカフェで待つお相手は…
タイムズビル
ようこそ、現代建築へ。今日はのんびり、遊んでいきましょ。
え、いいんですか?井上さん。
高瀬川にひらかれた建築で、光と、影と、遊びませんか。

川べりのカフェで、達人を待つおけいはんは少し緊張ぎみ。
“現代建築って、難しそう”「いえいえ、すぐ楽しめますよ」
そう微笑んでくれたのは、達人・井上章一さん。
「たとえばこのタイムズビル。美しい川のテラスに
手すりはいらん!と、建築家の叫びが聞こえそうでしょ」。
そういえば…街中なのに、川遊びに来たみたい。
「差し込む光や影と戯れるのも、立派な建築鑑賞ですよ」。

今回の達人 井上 章一さん

国際日本文化研究センター教授。専門は建築史、文化史、風俗史。『つくられた桂離宮』『南蛮幻想―ユリシーズ伝説と安土城』『名古屋と金シャチ』『伊勢神宮』など著書多数。京都市内に生まれ育った自らの体験にもとづく、痛快な辛口京都本『京都ぎらい』がベストセラーに。

タイムズビル
この通路、町家の路地(ろおじ)みたいでしょ。
かくれんぼ、したくなっちゃう。
#2 トークウィズ建築!
京都コンサートホール エントランスホール
あれ?なんだか、魔法にかかった気分。
驚かされたり、魅せられたり、建築って、意外とおちゃめです。

「次の建築にはご用心」と笑う達人に案内され、
北山にある京都コンサートホールのエントランスへ。
わ、床がデコボコ、壁がねじれてる? 「模様や傾きを
利用したトリックアートのような空間ですね」。
ダマされた…でもカッコいい。公演の前から盛り上がりそう。
このぐるぐる長いスロープも。「日常から非日常に導くため、
あえて長く歩くようになっているらしいけど…」
と、なぜかニンマリする達人。「私に聞こえてくるのは、
『このカッコいいホールをいろんな角度から見て!』
という、作り手の声ですね」。うふふ、そう言われると、
この建築そのものが、なんだか心を持った生き物みたい。
ちょっと圧倒されていたクールな空間が、
急に、親しみやすく思えてきました。

京都コンサートホール スロープ
たっぷり眺めていかなくちゃ、ね。
宇治駅 改札口前階段
さて問題、ここはどこの宇宙基地?
身近なところに、見どころあり。街を歩いて、建築と話そう。

つづいて達人とやって来たのは、意外な場所。
…あったかな?宇治に現代建築なんて。
「なにを言うんですか、この駅ですよ」
じつは、京都の人気建築家の作品なんですって。
「このアーチの連続が、スペインにある寺院みたいでね。
ちょっと厳かでしょ」。うーん、確かに。気づかなかった。
「夜に対岸から見ると、月がいくつも並んだようで
キレイですよ」。
さすが達人!私も、街中の建築の声に
気づけるようになりたい!
「ありがとう。ただ、ボクが勝手に心の中で話しかけてるだけで…
おけいはんにまでオススメするの、よくないかもなあ(笑)」。
でも達人、あなたが本当に語りかけてる相手は、建築じゃなく、
そこに情熱を注いだ作り手、なんですよね。

建築めぐりはつづくよ
ロームシアター京都 [京都モダンテラス]
さて、次はどこへ…話しにいこう?
京都モダンテラス
岡崎にもありました、古くておニューな現代建築。

宇治で達人とお別れして、ひとりで向かったのは岡崎、
平安神宮のお向かい。2016年1月、「京都会館」から
生まれ変わった「ロームシアター京都」です。
“新しくなっても味わいがある、って達人に教わったけど…
ほんと、渋いですね”。
人気の新店「京都モダンテラス」でお茶しながら、
築約50年の大先輩に話しかけるおけいはん。
古くなっても、その良さを残して、新しい魅力を取りこむ。
“すごいなぁ、建築って”。そのパワーまで、もらえました。

達人の直伝[お花を長持ちさせるコツ]

どんな建築にも必ずある、タイルやコンクリートのつなぎ目。これが建築の入口や敷居の端とピッタリそろっていると、全体が美しく見えます。よく見ないと分からない、作り手の隠れたこだわり。達人曰く、「建築全体の良し悪しとは別ですが、そろっていると“丁寧な仕事したはる”と思いますね」。

京都府立陶板名画の庭
逢いにいきたい建築。
達人、ありがとうございました。

京都コンサートホールのそばに、もうひとつ名建築が。
そう教わって、どうしても行きたくなりました。
「京都府立陶板名画の庭」。建築家は、あのタイムズビルと同じ安藤忠雄さん。
飾られた名画よりも目立つ、と達人が言っていた輝くコンクリートは、
優しい光を宿していました。

fin