京都ツウのススメ

第九十二回 京の冬の食習慣

[古来より伝わる、冬を健康に過ごす知恵] 京都では風邪の予防に良質な野菜を食べます。冬の食に関する行事や習慣について、らくたびの森明子さんが案内します。

京の冬の食習慣の基礎知識

其の一、
京都には、寒い冬を健康に過ごすための食習慣や行事があります
其の二、
了徳寺や千本釈迦堂で行われる「大根焚(だいこだ)き」はそのひとつです
其の三、
それらの習慣や行事では、冬の食材や料理が楽しめます

冬の食生活の知恵

京都は盆地のため寒暖の差が激しく、秋が過ぎるとすぐに気温が下がり冬を迎えます。そこで、昔から風邪をひいたり体調を崩したりしないようにと食生活が工夫されてきました。京都産の良質で栄養価の高い野菜を食べるという知恵がそのひとつで、煮炊きした大根が振る舞われる「大根焚き」や「かぼちゃ供養」が、師走の慣例行事として残っています。これは栄養学の観点からも理にかなっており、例えば大根にはビタミンAとCが豊富に含まれ、冬のビタミン不足を補う野菜のひとつとして重宝されてきました。

受け継がれてきた食習慣

一方で、昔からの伝承に基づく、食に関する習慣も冬には多く見られます。冬至に「ん」が2つ付くものを7種類食べる習わしがあり、これは運を呼び込むためと言われています。諸病退散のご利益があるという、なんきん(かぼちゃ)やにんじん、れんこんなどがその中に含まれています。また、1月には栄養が豊富な七草粥や小豆粥を食べる習慣もあります。京都では、こうした食材が冬の食卓で親しまれています。

[食にまつわる行事や習慣で、楽しみながら健康を保つ] 冬の健康管理において、食生活は大事なポイントです。京都には、食に関する言い伝えがたくさんあり「行事」や「習慣」として受け継がれてきました。それらについてご紹介しましょう。

大根焚き

了徳寺では…

「大根焚き寺」とも呼ばれる了徳寺(京都市右京区)では、12月9日・10日に大根焚きが行われます。1252(建長4)年、親鸞聖人が寺を訪れ村人たちに教えを説いた際、そのお礼に村人たちが大根を炊いて親鸞聖人に振る舞ったことが由来とされています。参拝者に振る舞われるのはしょう油味ですが、親鸞聖人の木像には、昔ながらの塩味の大根が供えられるそうです。

了徳寺では…

ココがツウ!

京都では昔から大根を「だいこ」と呼びます。俳句や短歌では、3音の方が使いやすいためだと言われています

千本釈迦堂では…

12月8日は釈迦が菩提樹の下で悟りを開いた日とされ、この日に大根焚きの大根を食べると中風にかからないと言われています。千本釈迦堂(京都市上京区)では12月7日と8日に大根焚きが行われます。鎌倉時代に慈禅上人が、大根の切り口に梵字(ぼんじ)を書いて魔除けにしたのが起源と伝わります。

千本釈迦堂では…

ココがツウ!

まるまるとした聖護院大根や青首大根の一つひとつに梵字を書くのは、お釈迦様をしのぶ心からです

かぼちゃ供養

かぼちゃ供養

冬至にかぼちゃを食べると厄除けになると言われており、矢田寺(京都市中京区)では12月23日にかぼちゃ供養が行われます。境内には、なでると中風除けや諸病退散にご利益があるとされる大きな「なでかぼちゃ」が置かれ、参拝者には甘辛く炊いたかぼちゃが振る舞われます。大原の寂光院などでも同様の行事が行われています。

冬至に「ん」が2つ付くものを7種類食べる

冬至に「ん」の付くものを食べるのは、運を呼び込むためと言われており、京都では「ん」が2つ付くものを7種類食べるという習わしがあります。縁起かつぎだけでなく、栄養のある物を食べて寒い冬を乗りきるための知恵でもあります。

ココがツウ!

「運」の音を「んん」と捉え、「ん」が2つ付くものを食べるようになったと考えられています

冬至に「ん」が2つ付くものを7種類食べる/なんきん(かぼちゃ)・にんじん・れんこん・ぎんなん・きんかん・かんてん・うんどん(うどん)

七草粥を食べる

春の七草は、一般的にはせり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ(大根)の7つを指します。これらは、早春に芽吹くことから邪気を払うと伝わっており、栄養学的にも身体に良い働きがあると言われています。京都の社寺などでは1月7日を中心に、春の七草を炊き込んだ七草粥を振る舞う行事が行われます。

七草粥を食べる

小豆粥を食べる

京都をはじめ関西では、1月15日に邪気を払い1年の無病息災を願い、ビタミンB1、B2などの栄養価が豊富な小豆粥を食べます。平安時代の「土佐日記」にも記されているほか、宇多天皇(867~931年)の頃から、宮中では天皇に小豆粥を捧げ、役人にも振る舞われたとされています。

小豆粥を食べる

制作:2015年11月
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