京都ツウのススメ

第六十八回 冬の京野菜

[底冷えの季節においしくなる冬の京野菜]色良し、味良し、姿良しと称される旬の京野菜。凍てつく季節に味わいが深まる冬の京野菜について、らくたびの山村純也さんが解説します。

冬の京野菜の基礎知識

其の一、
冬の京野菜は、厳しい寒さによって栄養価が増すと言われます
其の二、
体を温める食材として、昔から重宝されてきました
其の三、
社寺の年中行事に取り入れられた京野菜もあります

冬においしさを増す京野菜

豊かな水と土に恵まれた京都では、様々な京野菜が育まれてきました。底冷えの京都で旬を迎える冬の京野菜は、厳しい寒さで凍らないように水分の吸収を控えて糖分を蓄えます。そのため野菜の甘みと旨味が凝縮され、風味豊かな味わいとなります。栄養価が増し、体を温める作用も高いため、寒い冬を乗り越えるのに欠かせない食材として昔から重宝されました。野菜本来の味を生かした炊き物や保存用の漬物など、工夫を凝らして調理され、冬の食卓に欠かせない存在です。

年中行事との結び付き

京野菜の中には、全国から朝廷や寺院に贈られた種が京都の土壌に根付き、独特の野菜として受け継がれたものも少なくありません。そのため、京都には社寺などの年中行事と密接に結び付いている京野菜が多く存在します。きゅうり封じやかぼちゃ供養、ずいき祭、そして冬の大根焚だき…。これらは、栄養価の高い旬の野菜を、季節の行事に取り入れて食べることで健康になり、自然の恵みに感謝するという、京都人の知恵から生まれた文化と言えるでしょう。

京野菜と冬の食文化 冬の京料理と、そのおいしさを引き出す代表的なおばんざいを紹介します。

九条ねぎ くじょうねぎ

肉厚で香りが良く、風邪の妙薬とも言われます。寒さが厳しくなるにつれ内側に“あんこ”と呼ばれるゼリー状の透明のぬめりができ、やわらかさと旨味が増します。

てっぱい

九条ねぎと油揚げを白みそで和えたてっぱい(ぬた和え)は、冬のおばんざいの代表格です。

海老芋 えびいも

里芋の一種で、エビのような形としま模様が特徴。なめらかさと粘りがあります。茎はずいきと呼ばれ、北野天満宮で行われるずいき祭のみこしの 屋根に使われます。

海老芋と棒だらの炊いたん

棒だら(マダラの干物)の旨味と、海老芋のほっくりとした甘みが絶妙な味わいを生み出します。

聖護院だいこん しょうごいんだいこん

尾張の国(現・愛知県)から伝わった長大根を、聖護院近郊の農家が改良した丸型の大根。苦味が少なくてやわらかい。

ふろふき大根

味がよく染み込み、長時間炊いても煮崩れしないため、甘くとろけるような食感に仕上がります。

千本釈迦堂(京都市上京区)では、毎年12月に聖護院だいこんを含む約5,000本もの大根を使った「大根焚き」が催されます

ココがツウ

くわい

里芋の一種。大きな芽が出ていることから「良い芽が出るように」と、おせち料理などに使われる縁起物です。

くわいの煮物

めでたいとされる芽は付けたまま煮ます。甘みとほろ苦さと、サクッとした食感を楽しめます。

豊臣秀吉が御土居(おどい)を築いた際にできた東寺付近の低湿地で栽培されていた藍の裏作として、くわいの栽培が始まったと言われています

ココがツウ

まだある冬の京野菜

京みず菜

シャキシャキした食感で、京都や大阪では昔からクジラ肉とみず菜を用いる「ハリハリ鍋」が食べられてきました。

京せり

平安時代初期には栽培されていたと伝わります。豊かな香りを持ち、鍋や和え物などで独特の風味とシャキッとした歯応えが楽しめます。

すぐき菜

京都市北区上賀茂の特産物で、その歴史は300年以上。冬に漬け込み、酸味が特徴の京名物・すぐき漬が作られます。

金時にんじん

鮮やかな濃い赤色で、やわらかい肉質と甘みの強い風味が特徴。「京にんじん」とも呼ばれます。

“金時”とは『金太郎』のモデルで、京都・大江山の鬼退治などで活躍した坂田金時が赤ら顔だったことに由来します

ココがツウ

聖護院かぶ

2~5kgもの大きさの丸いカブ。甘くてみずみずしく、身がしまった肉質。京名物・千枚漬に使われます。

堀川ごぼう

豊臣秀吉の政庁兼邸宅・聚楽第(じゅらくだい)の堀跡で自生したのが始まり。中心は空洞で味が染みやすく、煮物に最適です。

料理写真協力:京のふるさと産品協会

京野菜を買うなら

京の台所 錦市場

「四寅」「川政」「河一」「かね松」などの八百屋が軒を連ねます。新鮮な京野菜がそろい、地元ならではのおいしい食べ方も教えてもらえます。

  • 075-211-3882(京都錦市場商店街振興組合)
  • 祇園四条駅下車 北西へ徒歩約10分

制作:2013年11月
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第七回 特別拝観の楽しみ方
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第四回 送り火の神秘
第三回 祇園祭の楽しみ方
第二回 京の名水めぐり
第一回 池泉庭園の眺め方
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