京都ツウのススメ

第四十回 京の焼きもの

[歴史が育んだ色と形 京焼・清水焼]京の都の華やかな文化とともに洗練されてきた「京焼・清水焼」。現代に受け継がれる伝統美などについて、らくたびの山村純也さんがご案内します。

京の焼きものの基礎地域

其の一、
京都で作られる焼きものを総称して「京焼」と呼び、「清水焼」はその代表格です
其の二、
茶の湯文化の隆盛とともに焼きものの技術が発展しました
其の三、
優美な色絵付を施した色絵陶磁器が特徴のひとつです

京の焼きもののおこり

京都では古くは5世紀前半、雄略天皇の頃から焼きものが作られてきました。奈良時代に僧・行基が窯(かま)を築いたのが現在の五条坂(茶わん坂)付近と言われています。安土桃山時代以降は茶の湯の発展に伴い、粟田焼・八坂焼・清水焼など東山山ろくを中心に多くの窯元があり、茶席で使われる器が多く作られるようになり、これらを京焼と呼ぶようになりました。江戸時代になると色絵(上絵付)の技法を大成したとされる野々村仁清(にんせい)や尾形乾山(けんざん)ら優れた陶工が現れ、京焼の名を高めました。

受け継がれる京焼・清水焼

京都では焼きものの原料となる土があまり産出されなかったため、他産地から陶土・陶石が運ばれました。それとともに各地から優れた陶工が集まり、様々な技術が発達。また、日本文化の担い手であった茶人や公家たちから、多種多様な形や華やかな色使いが求められたため、個性豊かな作品を生み出す窯元が多く誕生。より工芸色が強く、芸術性の高い意匠が生み出されました。こうして京の都で育まれた京焼・清水焼は、現在も多くの陶工たちに受け継がれ、日本を代表する伝統工芸品として親しまれています。

[都の文化とともに洗練された京焼の象徴 清水焼]清水焼の門前で焼かれていたことが、名前の由来。京焼の代表として知られる清水焼についてご紹介します。

[工程]卓越したロクロ成形から生まれる薄作り

清水焼には、陶器と磁器があり、いずれも手作り・手描きによる多品種少量生産を特色としています。また、卓越したロクロ技や削り出しによる薄作りが特徴のひとつに挙げられ、均一に薄く成形された茶碗は、薄さ・軽さとともに触れた時の心地良い質感が特徴です。

ロクロ成形のようす

ココがツウ

清水焼では、昭和初期まで京式登り窯が使われ、今でも五条坂付近ではその煙突が残り、往時をしのぶことができます

[意匠]茶の湯文化が生んだ美しいデザイン

金・銀・赤・黄など多彩な色絵の具を用いた華麗な色絵陶磁器が多いのも清水焼の特徴です。その起源は茶の湯で使われる陶器にあると言われており、茶席は美術作品鑑賞の場でもあったことから、書や画、蒔絵(まきえ)などから影響を受けた美しい意匠が生み出されました。

清水焼

ココがツウ

茶の湯のほかにも、盛り付けの美しさを誇る「京料理」では器の色合いが特に重視されたため、料理人の厳しい注文が京焼の発展に大きく影響しました

[陶工]名工たちの活躍

京焼の祖とされる陶工・野々村仁清。彼はそれまでの中国や朝鮮の美術品を模倣した“写しもの”から、山水や花鳥など日本の風物をデザインモチーフにした色彩豊かな“色絵もの”に京焼全体の作風を変えました。その弟子・尾形乾山らが完成させた優雅な日本風の色絵陶器は「古清水(こきよみず)」と呼ばれ、現代の清水焼の源流となっています。

伝野々村仁清 色絵釘隠 京都国立博物館蔵

ココがツウ

尾形乾山の兄は、琳派の代表的絵師・尾形光琳。乾山が作った器に光琳が絵付をするなど、兄弟合作の装飾性に富んだ名作を多く残しました

京焼・清水焼に触れるならココ

京都陶磁器会館 くるる五条坂

有名作家から若手陶芸家の作品までを展示・販売するアンテナショップ。館内には京都府内の窯元やその歴史を紹介する展示コーナーも。

第33回 京焼・清水焼展

京都五条坂陶器まつりに合わせ、くるる五条坂1階で行われる展示会。作家約60人の作品が並べられ、京焼・清水焼の世界を身近に感じることができます。

  • 8/5(金)~9(火)10時~17時
  • 075-531-3100(京都陶磁器協同組合連合会)

京都陶磁器会館 くるる五条坂

地図

京都・五条坂 陶器まつり 8/7(日)~10(水)

五条大橋東詰から東大路通までの五条坂に約400軒の露店が並ぶ日本最大級の陶器市。全国各地から様々な器が集まり、出店者との会話も楽しみ。

京都・五条坂 陶器まつり

制作:2011年7月
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