京阪沿線の名橋を渡る

京阪沿線の名橋を渡る シリーズ20

法成橋(ほうじょうばし)

空海の法力に因(ちな)んだ一願成就の橋で平安最古の庭園に思いを馳(は)せる。 若一光司

日本では飛鳥時代以前から庭園造りが行われていたが、それが一気に盛んになるのは、都が京都に遷(うつ)ってからのこと。

周囲を山々に囲まれ水利に恵まれた京都は、植物相や庭石となる自然石も豊富で、まさに庭園造りの最適地だった。

桓武天皇は794(延暦13)年の平安遷都時に、さっそく大内裏に南接する沼沢を拓いて、禁苑(天皇のための庭園)の造営に着手。中国の周の始祖・文王が築いた霊囿(れいゆう:自然公園)にならって、大庭園である「神泉苑」を完成させた。

平安最古のこの庭園は、南北約500m・東西約240mの広さを誇り、太古からの大池や森林、丘陵、小川などの自然を巧みに活いかしていた。中嶋が築かれた池には、龍の彫りもので飾られた「龍頭鷁首(りゅうとうげきす)の船」が浮かび、敷地の北部には乾臨閣(けんりんかく)を主殿として、典雅を極めたいくつもの殿舎が建立された。

桓武天皇を筆頭に、平安前期の多くの天皇が神泉苑への行幸を重ね、歌を詠んだり釣りを楽しんだりして、宴遊の時を過ごした。嵯峨天皇が812(弘仁3)年に日本初の「桜の花見」を催したのも、祇園祭の原点となった「御霊会(ごりょうえ)」が869(貞観11)年に行われたのも、この神泉苑でのことである。

また、824(天長元)年に神泉苑で雨乞いの祈祷を行った空海が、法力によってチベットの龍神(善女龍王)を呼び寄せ、三日三晩の大雨をもたらしたとの伝承もある。神泉苑はその後、名僧たちの祈雨修法の場ともなった。

しかし、由緒ある歴史に彩られた神泉苑も、中世に至って次第に荒廃。さらに、1602(慶長7)年に徳川家康が二条城を築いた際に、庭園の北側一帯が破壊されて城内に取り込まれてしまい、大幅な規模縮小を余儀なくされた。

この神泉苑の再興に努めたのが、快我上人(かいがしょうにん)だった。上人は板倉勝重や片桐且元の協力を得て、1607(慶長12)年より池畔や堂塔を整備し、池中の嶋に善女龍王を祀(まつ)るなどして、平安時代以来の旧跡の保存に尽力。神泉苑はその後、東寺真言宗の寺として歴史を重ねる。

本堂と善女龍王社を結ぶ朱塗りの丸橋は、空海の法力に因んで「法成橋」と命名され、いつの頃からか、「願い事をしながらこの橋を渡って善女龍王に詣(まい)ると、願いが成就する」と信じられるようになった。

私も訪問時に、外国人を含む何人もの方々が、何やら祈念しながら法成橋を渡る姿を見かけたが、「願掛け」に世代や人種の違いはないことを思い知らされた。さほど観光客も多くはない境内では、四季の風情をゆっくりと満喫できる。

法成橋は「一願成就」の橋なので、欲張った願いは聞き入れられないものの、煩悩のまま橋に佇(たたず)み、群泳する鯉を眺めているだけで、なにかしら確かに救済されるものがある。

◆◆京都市中京区門前町166 ◆地下鉄二条城前駅下車 南西へ徒歩約5分

このような歴史的名勝が、日常の散策がてらの気軽さで立ち寄れる町中に存在するのも、京都ならではだろう。

神泉苑の周辺には、二条城や御金神社などの見所も多いが、私が激奨したいのが、釜座町(かまんざちょう)の大西清右衛門美術館だ。

京釜師の技を400年以上も受け継いできた歴代の大西清右衛門が、丹誠(たん)込めて造形した茶釜の名品は、茶道の枠を超えた芸術性の高さで、見る者の心を打つ。必見の美術館である。

[法成橋付近をのんびり散策]1.神泉苑/2.元離宮二条城/3.薬師院/4.御金神社/5.大西清右衛門美術館

歴史街道

喫茶チロル

きっさちろる

地元の人々に50年近く愛され、山小屋をイメージした建物や照明、テーブルなどが心地良い喫茶店。レトロな雰囲気が人気で若い人も多く訪れます。昔ながらのカレーやスパゲティーなどメニューも豊富。

  • 6時30分~17時
    日・祝日、12/30(金)~1/3(火)休業
  • 075-821-3031
  • 京都市中京区門前町539-3
  • 地下鉄二条城前駅下車 南西へ徒歩約5分
おすすめメニュー・店内写真

京ゆば処 静家 二条城店

きょうゆばどころ せいけ にじょうじょうてん

女将が考案したシンプルで家庭的なゆば料理が味わえるお店。京都・美山の水と国産大豆を使ったゆばは、タンパク質が豊富で肌にも良いとされ、風味はもちろん食感も楽しめます。

  • 11時30分~15時30分(入店)
    17時30分~19時30分(入店)
    ※ 夜は要予約
    1/1(祝・日)休業
    ※ ほか不定休あり
  • 075-813-1517
  • 京都市中京区大文字町233-4
  • 地下鉄二条城前駅下車 南へすぐ
おすすめメニュー・店内写真

一華

いちはな

祇園の名店で修業を積んだ店主が営む割烹。新潟県・糸魚川産の粒が大きくふっくらした米を使い、和風だしをベースにした釜飯は、注文を聞いてから炊き上げます。冬はカニやカキ、ホタテなどの釜飯が登場予定。

  • 12時~15時(L.O.)
    17時~21時30分(L.O.)
    日曜・12/30(金)~1/4(水)休業
  • 075-754-8827
  • 京都市中京区二条油小路町264-1
  • 地下鉄二条城前駅下車 北東へ徒歩約5分
おすすめメニュー・店内写真
制作:2016年11月
価格・営業時間・電話番号等が変更される場合がありますので、
おでかけ時には、ご確認くださいますようお願い申し上げます。
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